映画「母と暮らせば」感想

山田洋次監督らしい映画。
フィルムの質感ここだわったスクリーンが、どんな想いも涙も何もかも吸い取ってくれるような。
吉永小百合の安定感。女優と呼ぶにふさわしい人はもうこの人位しかいない。というか、この人しかいない・・と思えるような。いかに薄っぺらいタレントもどきが、澄ましてみてもかったるい仕草やヌードや仏頂面をした所で、この人の輝きを超える事は出来ない。そんな気がして来る。
ニノが好演。
低品質の代名詞のジャニタレとか、駄作当たり前のジャニ映画などとは別物。あのお母さんにこの息子、しっとりと馴染んでいる。どこか頼りない様子が、この世にいない人の雰囲気には似合っていて良かった。
たぶん、こういう何処にでもいる人々の、ありふれた感情や感傷を細やかに描く映画は、かつては沢山あったのだと思う。山田監督がこだわったフィルムに映し出されたそれらの風景を、失われる事が決定した望郷としてしまうのは、あまりにもわびしい。人の心が荒れてしまった現代にも、まだ残された想いがあるなら、それを大切にしたい・・・と、思わせる映画。
STAFF
監督 山田洋次
脚本 山田洋次 平松恵美子
製作 井上麻矢(企画) 榎望
音楽 坂本龍一
撮影 近森眞史
編集 石井巌
制作会社 松竹
製作会社 2015映画「母と暮せば」製作委員会
配給 松竹
CAST
福原伸子 吉永小百合
福原浩二 二宮和也
佐多町子 黒木華
上海のおじさん 加藤健一
黒田 浅野忠信
富江 広岡由里子
民子 本田望結
復員局の職員 小林稔侍
年配の男性 辻萬長
川上教授 橋爪功

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ミント
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