映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」感想
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メリル・ストリープの演技にかける鉄の意志に圧倒される映画!!
彼女の気迫が全部を支配している。人工的なものとはいえ、女優が老残の姿をスクリーンに晒すには、かなりの覚悟がいるだろう。にもかかわらず、サッチャーを演じ切った彼女の素晴らしさは賞賛に値する。オスカーに相応しい。

若き日から首相に登り詰めるまで、そして1982年のフォークランド紛争に至るまでの17日間の物語。戦争や政治部分の描写は控えめ。それゆえに一人の女性としてのマーガレット・サッチャーが浮かび上がる。
老いて認知症となったマーガレット。亡き夫の幻覚との会話を通しての回想。一国を背負う孤独の中で、夫デニスの存在が大きかった。家族との諍いはあったにしても、彼女の大きな支えであったのだ。子供たちの昔の映像に見入るマーガレット。彼女も妻であり母であり、決して冷酷な人間ではなかったのだ。だが一国を担うという事は、時には非情になる事も要求されるのだ。

首相まで務めた人物と家としては何と質素な住まいだろう。使い込まれたテーブルに椅子。けれども立派な茶器はかかせない。それが英国流という事なのだろう。米国ならプールや庭付きの邸宅に住んでいそうだ。日本でも豪邸だ。大抵は監視カメラ付きでセコムしてますよね。
年寄りも同居する私には色々と身に詰まされる事も多い老いたサッチャーの私生活。それだけリアリティがあるという事だろうけれど。たとえば、DVDを上手く取り出せないとか、ネックレスをはずせないとか。

首相退陣の時、彼女は真紅の薔薇の道を歩くけれど、彼女の歩んで来た道は本当は茨の道だっただろう。男尊女卑、階級差別、腐敗した政党、不況、迫り来る外敵、テロリスト、戦争。それでも彼女は歩み続けた。
ティーカップを洗うだけの女にならないと言った彼女がティーカップを洗うラスト。それは彼女の母親のように因習と諦めの中で洗うのではない、自分自身の意志でした事なのだと・・そんな気がした。
見応え十分の秀作!!
The Iron Lady
監督 フィリダ・ロイド
脚本 アビ・モーガン
製作 ダミアン・ジョーンズ
音楽 トーマス・ニューマン
撮影 エリオット・デイヴィス
編集 ジャスティン・ライト
メリル・ストリープ マーガレット・サッチャー
アレクサンドラ・ローチ 若年期のマーガレット・サッチャー
ジム・ブロードベント デニス・サッチャー
ハリー・ロイド 若年期のデニス・サッチャー
オリヴィア・コールマン キャロル・サッチャー
アンソニー・ヘッド ジェフリー・ハウ
リチャード・E・グラント マイケル・ヘーゼルタイン
ポール・ベントレー ダグラス・ハード
ロビン・カーモーディ ジョン・メージャー
ジョン・セッションズ エドワード・ヒース
ロジャー・アラム ゴードンリース
マイケル・ペニングトン マイケル・フット
アンガス・ライト ジョン・ノット
ジュリアン・ワダム フランシス・ピム
レジナルド・グリーン ロナルド・レーガン
色々と、人それぞれに事情はあるだろうけれど、家族とは仲良くしようよ。やっぱり最後に残るのは家族だけだから(ノ∀`)



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