(終)北欧サスペンス「凍てつく楽園」~死者は静かな海辺に~ 第3話 感想

結婚40周年を祝うヘンリクの両親
舅はパーティの隣の婦人を誘うが断られる
公式HPよりあらすじ
ノラとヘンリクの険悪な状態が続く中、祖父母と浜へ遊びに行ったシモンとアンナが行方不明になった。やがて、古いトーチカから出られなくなっていたところを保護されたアンナは「トーチカの中に骸骨がある」と漏らし、ノラはトーマスとともに骸骨を確認しに行き、白骨死体を発見。歯形の照合結果から身元が明らかになり、そこでトーマスはノラに危険が及ぶことを悟る……。
何かが・・ある
「対等」と言いながら、何でもひとりで決めてしまう夫。二人の対等の意味はすれ違う。何を言っても、自分の思った通りの言葉が出ない限り、ヘンリクはノラを許すつもりはない。それのどこが対等だというのだろう。
だがその諍いも、子供達の行方不明という事態で中断する。

祖父母が目を離したすきに消えた子供達。海岸の岩穴に入って出られなくなった子供達は、無事に救出される。子供達は穴の中で骸骨を発見したという。
ノラの隣人シグネにトーマスはクリステルの父親の写真を見せるが、彼女は知らないという。古くから島に住んでいるはずなのに。何かを隠している様子。
「こんなはずじゃなかった」
人生はいつも後戻りをしたがる。先を見るのが辛い時は特に。ノラはトーマスにそんな想いを打ち明ける。穴の中の男性の白骨。こんなはずじゃなかった、骨も叫んでいると、トーマスはいう。そして突発的なキス、それだけ。それだけでも、心は砕け散る。逃げ出すノラ。
「今度あの刑事がうろついたいたら、僕は何をするかわからない」
自分の暴力を正当化するために、何もかも妻のせいにする。立派な脅迫。パーティでは他人に良い顔をして、ふるまうシャンパンよりも冷え切った夫婦の間。横切っていくトーマスの姿、ふらふらと追いかけるノラ。窓からの短い会話。後戻りは出来ない、でも先にも進めない。
白骨の身元が判明、それはアラン、あのシグネの夫。
ノラは退屈なパーティから逃れてシグネと出かける。真相に気づいたノラを、シグネは自分の漁場の灯台に閉じ込める。糖尿病のノラは、インシュリンを打っていないために朦朧としている。シグネの夫アランがクリステルの父親。昔、セシリア・ベリグレンとクリステル・ベリグレンが尋ねて来た。シグネは夫の裏切りを知った。そして今になってベリグレン兄妹はアランの遺産を要求しに来た。
シグネに会いに来たトーマスに、ノラがいなくなったと食って掛かるヘンリク。トーマスはヘンリクと一緒に探しに出かける。シグネの漁場に行きはしたものの、ノラを見逃してしまう。去っていく船に向かい、助けを求める叫びは届かない。ノラはマッチを見つける。

船の上、碇を抱くシグネ
トーマス達が見つけたのは空っぽの船、船に残されたノラの靴。捜索隊もノラを見つけられない、夜になり、捜索は打ち切られる。誰もいなくなった港。犬の鳴き声、トーマスは海上に炎と煙を見る。シグネの漁場。ボートで急ぐトーマス、間一髪で助けられたノラ。
病院、交わすまなざし。そっと触れ合う手。後戻りでもなく後悔でもない。こんなはずではないと思うなら、望む未来を見つけようと。夫がやって来る。トーマスは去っていく。夫に抱きしめられても、ノラの目はトーマスの背中を見ている。振り返ったトーマスの表情は影になってわからない。
売家の看板を投げ捨て、自分のサマーハウスで横たわるトーマス。トーマスは眠っている。それは眠る事を恐れていた男の顔ではなかった。

刑事ミステリーというよりもハーレクインロマンスのような物語。
平穏な島に、殺人という非日常が起きた時、脆くも崩れていく日常。崩れていったのは、幾つもの心。緊迫したBGMで恐怖を煽る事もしない。海は海、砂は砂、それだけ。大袈裟な仕掛けはない。それだけに人々の息遣いが鮮やかに浮かび上がって来る。あからさまな情事はない。潮風が吹けば乱れる髪も、風がおさまれば元に戻る。でも、潮の香りは髪にまとわりついて、熱い夜に香る。何処かで香る・・・そんな感じ。
次シーズンも放映決定だそうで、楽しみです。
STAFF
原作 ヴィヴェカ・ステン
製作 ラース・ブロングレン ジョセフィン・テングブラッド ニヴァ・ウエストリン
CAST
トーマス・アンドレアソン ヤコブ・セダーグレン 小原雅人
ノラ・リンデ アレクサンドラ・ラパポルト 林真里花
ヘンリク・リンデ ヨナス・マルムシェー 内田夕夜
カリーナ・ペーション ソフィア・ペッカリー 浅野真澄
シグネ・ブランド ハリエット・アンデルセン 沢田敏子
マルギット・グランクヴィスト アンキ・リデン 弥永和子

fc2が不調の際はお手数ですがTB用ミラーブログをご利用下さい