映画「インターステラー」感想

アーサー・C・クラークの未発表の小説が発見され、それをクリストファー・ノーランが映画化したと言われても驚かないレベルのSF映画。
壮大な計画は秘密裏に行われ、誰の手も届かない場所で、人間の未熟さや自己中心的な身勝手さや裏切りから頓挫しそうになる。だが主人公は何らかの方法を見つけ(或いは導かれて)人々は救われる。
古本屋で買った水色の背表紙のハヤカワ文庫にありそうな物語。悪い意味ではない。SFの古典的なセオリーを守りながら、新しい話に仕上げてある。モノリスを思わせるロボット、戦争の消えた未来、農夫がエンジニアよりも重要とされる時代、衰退していく科学技術と人類、瀕死の地球。宇宙船の内部が未来風のタッチパネルではなく、無骨なスイッチが並んでいるのがいい。長期間の航海にはアナログの方が信頼性がおける。それは人間も同じ事、ベテランの宇宙飛行士が必要とされる。
そして地球を救うという大義と、父と娘の絆が対比される。人はあまりにも大きな理由に共感するのは難しい。身近に理解出来るものがあってこそ感情移入出来る。それもセオリー。
はやぶさ2が打ち上げられる。
アポロ計画の停滞、物珍しさは失せ、宇宙への夢は飽きられた。足元を見るのに忙しい社会の中で、誰もが空を見上げる事など忘れてしまった。それでもあの空の向こうにある希望を捨てずにいた人々がいた。はやぶさの奇跡が、再び宇宙の広さを思い起こさせた。月に人類が到達した(映画の中では嘘だとされている。人々の思想を統制するために)頃に比べれば、ささやかなものではあろうが。
密かに継承され継続された技術が地球を救う。根本にそれがありながら、幽霊のエピソードが挟まれている。そこがSFなのだ。科学が万能と傲慢になるのではなく、科学では解決しかねる事象もあると。その曖昧な部分に物語が大きく発展する種がある。
数々の古典名作のSF小説をもう一度読み返したくなる映画。
![Empire [UK] November 2014 (単号)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/61ic422r5rL._SL160_.jpg)
Interstellar
STAFF
監督 クリストファー・ノーラン
脚本 クリストファー・ノーラン ジョナサン・ノーラン
製作 エマ・トーマス クリストファー・ノーラン リンダ・オブスト
製作総指揮 ジェイク・マイヤーズ ジョーダン・ゴールドバーグ キップ・ソーン
音楽 ハンス・ジマー
撮影 ホイテ・ヴァン・ホイテマ
配給 パラマウント映画 ワーナー・ブラザーズ
CAST
クーパー マシュー・マコノヒー(小原雅人)
アメリア・ブランド アン・ハサウェイ(園崎未恵)
ロミリー デヴィッド・ジャーシー(山岸治雄)
ドイル ウェス・ベントリー(小松史法)
TARSの声 ビル・アーウィン(多田野曜平)
CASEの声 ジョシュ・スチュワート(丸山壮史)
マン博士 マット・デイモン(土田大)
マーフィー(マーフ) ジェシカ・チャステイン(岡寛恵)
マーフ(幼少期) マッケンジー・フォイ(諸星すみれ)
マーフ(老年期) エレン・バースティン(沢田敏子)
ブランド教授 マイケル・ケイン(有本欽隆)
トム ケイシー・アフレック(加瀬康之)
トム(幼少期) ティモシー・シャラメ(上村祐翔)
ドナルド ジョン・リスゴー(福田信昭)
ロイス リーア・ケアンズ(鶏冠井美智子)
ゲティ トファー・グレイス(松本忍)
校長 デヴィッド・オイェロウォ(水内清光)
ウィリアムズ ウィリアム・ディヴェイン(小島敏彦)
管理者 エリス・ガベル(北田理道)
ハンリー先生 コレット・ウォルフ(合田絵利)
マシュー・マコノヒーがいい。宇宙飛行士の顔をしている。
マット・デイモンが何かやらかしそうな顔してるなと思ったらやらかしました。
星野之宣の漫画が読みたくなりました。
相対性理論が使われるのもノスタルジックな印象を強めているような。

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