映画「ホビット 決戦のゆくえ(3D)」感想

ホビット 決戦のゆくえ

ビルボの冒険が終わる

サウロンが復活を遂げ、世界が最後の光を失い始める予兆の中で。

壮大な「指輪物語」の前日譚という事で、軽く見られる傾向があるけれど、私はビルボと彼と出会う人々(正確には人でない者も多いのですが)の物語が好きです。トールキンの肩慣らし的な力みのなさと自由と手探りの間で編まれていった純な部分が見え隠れするような感じがします。はじめての冒険はどんな場合も心躍るもの、そしてそのときめきはそれが最初で最後のもの。

ビルボは完璧ではありません。ホビット特有の陽気さと人の良さと悪気のない嘘や物事を深く思わぬゆえのちょろまかしもやらかします。怖いがりだし非力だし。でも時には数倍の背丈のオークをも出し抜く勇気と度量を見せます。そしてトーリンに”真の友”と呼ばれたのも頷ける率直さ、それらがビルボを偉大なホビットにするのです。

SOUND DRAMA Fate/zero vol.1

「Fate/stay night」における「 Fate/Zero」のようなもの。

切嗣贔屓の私がビルボが好みでも何も不思議はない(エw
強いて言えばトーリンが綺礼の立ち位置かも(エエw
徹頭徹尾貴族の時臣はスランドゥイルという事で(ww

戯言はともかく・・

三部作の締め括りであるので、まとめるために詰め込み過ぎで薄く感じられたのが残念。出来ればスマウグを射落とすまでを第2部で、その後の世界を第3部で描いて欲しかったです。映画として成立させる為に、レゴラスとタウリエル、タウリエルとキーリのロマンスを増量した分、描き不足で終わってしまった部分も。

バルドの風貌がアラゴルンと重なって思えるのも、ややマイナスだったかも。ルーク・エヴァンズは悪い役者ではないし、貴種の末裔たる威厳もあったけれど。エルフや他種族との差別化をするとなると、ああなってしまうのかも知れませんが。

たまにCGがカクカクしたり雑に見えたのが気になりました。まさかハリーハウゼンへのオマージュとか言いませんよね?膨大な情報量をこなすには、どこかで手を抜く必要はあったのかもしれませんが。金への執着に心歪ませたトーリンが立ち直るシーンも伝わり難かった。

ポスター A4 パターンG ホビット 決戦のゆくえ 光沢プリント

とはいうものの、戦いの連続は観る方には楽しく。

激化していく戦いの中で、ビルボが奮闘する姿がけなげで。中心はトーリンの変貌とバルドを中心とした人間の本性を描く部分。人手がなければ女も武器を取るわけですが、後の時代でもエオウィン姫が女ゆえに表立って参戦出来ないと嘆くとはいえ、それは特殊な事情で、非力な老人や病人、女子供は守られる時代は続くわけです。守られるものは守るものが良く戦えるように心を砕き、子供は成長して守るだけの力を持つ事が誇りであり、自分を守ってくれた人々をいたわる事が人としての勲章であった時代が。哀しい事に現実の現代の社会では女は性奴隷、子供には銃を持たせるという恐ろしい事態となっている地域もあるわけですが。

ポスター A4 パターンP ホビット 決戦のゆくえ 光沢プリント

エルフ側の物語を膨らませたおかげで、スランドゥイルが傲慢で冷酷なだけではない一面が見られたのも良かったです。キーリを失った辛さを嘆くタウリエルに、その辛さこそが”本物の愛”なのだと語り、自らの下を去っていく息子レゴラスに、レゴラスの母がレゴラスを自分の命よりも愛していたと告げる事で、彼もまた最愛の妻を失った哀しみを抱えているのだと匂わせる。

長い髪をなびかせて戦うスランドゥイルが美しい。こういう絵がファンタジーの醍醐味ですよ。

スランドゥイルはドゥネダインを探すようにレゴラスに言う。ストライダーと呼ばれる男を。それが後にゴンドールの王となるアラゴルンである事は観る側は知っているわけですが。そこではアラソルンの息子としか明かされない。「ロード・オブ・ザ・リング」への橋渡し。

.hack//G.U. Vol.1 再誕

おお、馳夫さん!!

ハセヲというと「.hack」を思い出す向きもあるかも。というか、RPGの基本が「指輪物語」なのですが、ファミコンが出来てから数十年が過ぎ、元ネタの方を「なにこのドラクエ」という人間が出て来たのは、大半のエルフが去った中つ国で彼らを知らない人間達がかつてのエルフが矮小化したものを妖精だの妖怪だのと畏怖したのと同じような現象なのかもしれません。まあ、日本においては何でも妖怪の仕業にしてしまう風潮が最近急速に広まりつつありますが。

ピーター・ジャクソン監督の趣味的には、ただ綺麗なだけの世界を描く気は毛頭もなかったのでしょうが、かのロスロリエンの奥方さえ、力を発するとバケモノの如き姿になってしまうのは何とかして欲しかったかもw

しかし・・

中つ国をここまでのスケールで映像化してくれた事に惜しみない拍手と賞賛を!!

映画 ホビット 決戦のゆくえ オリジナル・サウンドトラック

The Hobbit: The Battle of the Five Armies

監督 ピーター・ジャクソン
脚本 ピーター・ジャクソン フラン・ウォルシュ フィリッパ・ボウエン ギレルモ・デル・トロ
原作 J・R・R・トールキン 『ホビットの冒険』
音楽 ハワード・ショア
撮影 アンドリュー・レスニー
編集 ジャベス・オルセン
配給 ワーナー・ブラザーズ

ビルボ・バギンズ マーティン・フリーマン 森川智之
ビルボ・バギンズ(老年期)イアン・ホルム 山野史人
灰色のガンダルフ イアン・マッケラン 羽佐間道夫
トーリン・オーケンシールド リチャード・アーミティッジ 東地宏樹
スマウグ ベネディクト・カンバーバッチ 大友龍三郎
死人使い/サウロン ベネディクト・カンバーバッチ
レゴラス オーランド・ブルーム 平川大輔
タウリエル エヴァンジェリン・リリー 甲斐田裕子
バルド ルーク・エヴァンズ 山路和弘
スランドゥイル リー・ペイス 森田順平
ドワーリン グレアム・マクタヴィッシュ 玄田哲章
バーリン ケン・ストット 稲垣隆史
キーリ エイダン・ターナー 土田大
フィーリ ディーン・オゴーマン 落合弘治
ドーリ マーク・ハドロウ 茶風林
ノーリ ジェド・ブロフィー 佐藤せつじ
オーリ アダム・ブラウン 宮田幸季
オイン ジョン・カレン 小島敏彦
グローイン ピーター・ハンブルトン 稲葉実
ビフール ウィリアム・キルシャー
ボフール ジェームズ・ネスビット 平田広明
ボンブール スティーヴン・ハンター
ガラドリエル ケイト・ブランシェット 塩田朋子
エルロンド ヒューゴ・ウィーヴィング 菅生隆之
白のサルマン クリストファー・リー 大木民夫
茶のラダガスト シルヴェスター・マッコイ 野島昭生
アゾグ マヌー・ベネット
ボルグ ローレンス・マコール
くろがね山のダイン ビリー・コノリー 石塚運昇
ビヨルン ミカエル・パーシュブラント
湖の町の統領 スティーヴン・フライ 銀河万丈
アルフリド ライアン・ゲイジ 河本邦弘
バイン ジョン・ベル 三宅貴大
リンディア ブレット・マッケンジー
フェレン サイモン・ロンドン 岡井克升
エルロス ロビン・カー


ビルボというホビットを作り上げたマーティン・フリーマンが素晴らしい。今もそしてこの先もガンダルフと言えば彼の演じたこの姿が真っ先に思い浮かぶであろうイアン・マッケランも。御歳92歳のサルマン役のサー・クリストファー・リーにも拍手を。

エルフの鎧を見た時、「ベルセルク」のグリフィスを思い出したのは内緒でw

ブログランキング・にほんブログ村へ
fc2が不調の際はお手数ですがTB用ミラーブログをご利用下さい

Comment

たしかにスランドゥイルの株があがったなと。ちょっとでもいい面が見れると
ビジュアルがあれですから華麗です。(単純~~~)
実はストライダー=アラゴルンさえ忘れていてあとでアタフタ
そういやそうだった~~(^_^;)

クリストファー・リーが92歳ですか。そりゃ拍手~~。
・・・10年以上たって同じメンバーでLOTRのエピソード0って
やっぱそれだけでも大変ですよね・・・。

ぶっちゃけホビットの1作目はあまり気乗りがしなかったのですが3作つくるなかで
ビルボさえもどんどん魅力的になっていった気がします。これは役者さんの力でしょうね~。基本イケメンばっか追っかけてましたけど。(爆)

2014.12.19(Fri) 00:31       Ageha さん   #BNF5UjbU  URL       

>Ageha さま

いらっしゃいませ☆

あれだけ膨大な情報量を持った物語ですから、どうしても全容を描く事は無理ですよね。それをとりあえず再構成して映像化した事は凄いと思います。

原作では名前だけで登場しないレゴラスも出番があって良かったです。

俳優さんは生身の人間です。それでも10年を経てオリジナルのキャストが演じてくれたのはうれしい事です。サルマンは出番は少ないとはいえ、重要な役ですから。

「シルマリル」も作られるそうですが、早く観てみたいですね(^o^)

2014.12.19(Fri) 22:25       もるがん さん   #-  URL       

Post Comments

(設定しておくと後でPC版から編集できます)
非公開コメント

『ホビット -決戦のゆくえ-』 2014年12月3日 新宿ピカデリー

『ホビット -決戦のゆくえ-』 を完成披露試写会で鑑賞しました。 マスコミ向けも込みの試写会だったのでプレスもらえると思ったが甘かった。 最後くらいは振舞って欲しいものだ(笑) 【ストーリー】  ドワーフの王国を取り戻すべく旅をしていたホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)やドワーフのトーリン(リチャード・アーミティッジ)らは、竜のスマウグからついに王国を奪い返す。しかし...

2014.12.18 (Thu) 18:54 | 気ままな映画生活(適当なコメントですが、よければどうぞ!)

ホビット 決戦のゆくえ

必死剣鳥刺し 公式サイト。原題:The Hobbit: The Battle of the Five Armies。J・R・R・トールキン原作、ピーター・ジャクソン監督。マーティン・フリーマン、イアン・マッケラン、リチャード・ ...

2014.12.18 (Thu) 18:54 | 佐藤秀の徒然幻視録

劇場鑑賞「ホビット 決戦のゆくえ」

旅が、終わる… 詳細レビューはφ(.. ) http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201412130000/ 送料無料!!【予約要確認】【CD】映画 ホビット 決戦のゆくえ オリジナル・サウンドトラック/サ...価格:3,240円(税込、送料込)

2014.12.18 (Thu) 19:27 | 日々“是”精進! ver.F

ホビット 決戦のゆくえ

ホビット 決戦のゆくえ@新宿ピカデリー

2014.12.18 (Thu) 19:58 | あーうぃ だにぇっと

ホビット決戦のゆくえ

今日は、冷え込みましたが・・・

2014.12.18 (Thu) 20:40 | Break Time

映画「ホビット 決戦のゆくえ」@109シネマズ川崎

 109シネマズさん主催のIMAXデジタルシアターでの試写会だ。客入りは前3列以外満席だ。

2014.12.18 (Thu) 22:51 | 新・辛口映画館

ホビット 決戦のゆくえ

評価:★★★☆【3.5点】(F) こういうファンタジー・アドベンチャーは

2014.12.18 (Thu) 23:20 | 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜

ホビット 決戦のゆくえ ★★★★★

J・R・R・トールキンの『ロード・オブ・ザ・リング』3部作に続き、その物語の前日譚(たん)をピーター・ジャクソンが映画化したアドベンチャー3部作の最終章。ドワーフの王国の奪取を目指し旅をしていたホビット族の主人公とドワーフたちが、ついに王国を奪還、目覚めた...

2014.12.19 (Fri) 11:44 | パピとママ映画のblog

物欲戦争。『ホビット 決戦のゆくえ』

『ホビット』3部作の最終章です。

2014.12.19 (Fri) 12:29 | 水曜日のシネマ日記

ホビット 決戦のゆくえ

結局、ドワーフ13人全員の顔と名前が覚えられなかった。

2014.12.19 (Fri) 22:54 | だらだら無気力ブログ!

ホビット 決戦のゆくえ 3D

遂に最終回! 『ロード・オブ・ザ・リング』に続く、前日譚『ホビット』映画三部作のラスト『ホビット 決戦のゆくえ』をIMAXのHFR3Dで観てきました。 ★★★★★ 怒りに震えるドラゴンがエスガロスの街を急襲する前作のラストシーンに直接繋がって始まる本作は、最初からクラ...

2014.12.21 (Sun) 13:21 | そーれりぽーと

ホビット 決戦のゆくえ

故郷を奪還したドワーフの王子トーリン一行は、心ならずも恐るべき竜のスマウグを世の中に解き放ってしまった。 怒り狂ったスマウグは報復の炎を降りそそぐ。 一方、トーリンは取り戻した財宝に異常な執着を示し始め、続々と避難して来る湖の町の人々に対しても、冷たい態度で応じる。 ビルボはそんなトーリンに、見つけたアーケン石を渡す気になれないでいた…。  ファンタジー・アドベンチャー全3部作第3弾。

2014.12.22 (Mon) 08:43 | 象のロケット

「ホビット 決戦のゆくえ」(2D字幕)みた。

『ホビット 思いがけない冒険』(2012/12)『ホビット 竜に奪われた王国』(2014/2)に続く、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の前章となる『ホビットの冒険』3部作の最終章。「またひとつ楽しみ

2014.12.25 (Thu) 10:36 | たいむのひとりごと