チャリティ映画会「ぼくたちの家族」感想

ぼくたちの家族

物忘れや奇行を繰り返す母親。
彼女が脳腫瘍で余命一週間と宣告された時から物語は始まる。

家族は夫婦と息子二人。息子二人は家を出ている。夫は会社を経営しているが、多額の借金で首が回らない。なのにバブル時代の夢を捨てきれない。妻もサラ金に300万の借金がある。引きこもりから立ち直った長男は新婚、妻が妊娠したばかり。弟は大学生、母親に金の無心をする甘えっ子。

それぞれに抱えた問題でつぶれそうな上に、更にのしかかって来る母親の病気、入院費用もない父親、妻に貯金は生まれて来る子のために使うと釘を刺される長男。ぶつかり合いながら、それでも母親の転院先を探す二人の息子。

家族の絆、現代社会、暗くて重い。

面白い映画なのはわかる。いい役者を使っている。弟の池松壮亮の存在感が特にいい。暗い映画の中で彼の独特の明るさと自由さが救いになっている。何気ない仕草や背景で言外の事を伝える演出もいい。

問題は、これがチャリティ映画会であった事だ。

昔は、障害のある子がいると普段は映画を見る機会がない親が、連れて来て子供が騒いでも誰もが「お互い様」なので気楽に来られる会だったと思う。だが最近は家族向きでない映画が多い。映画会社が貸してくれる映画が限られているだろう。もし映画会社側に「どういう人々が見るのか」と考える担当がいたなら、こんな映画を回したりはしないだろう。映画会社のせいではなく、主催側の問題なのかも知れない。部外者の私には本当の所はわからない。

問題は、病気の老人や障がいのある家族を抱え、映画の中よりももっと深刻な事情を抱える人達がその場に沢山いたという事だ。現実の生活に重なる話を見て、はたして楽しいものだろうか。映画では何もかも上手くいって、母親は治療法が見つかり、長男は給料の良い外資系()に転職が決まり、明るい見通しで終わる。だがそれを見ている大半の人々は老いていく自分と家族の将来に底知れぬ不安を感じているのだ。特に今の日本は「老人と病人は死ね」と大っぴらにいう人間が増えているし、どんどんと福祉は削られている。

チケットは1500円、今は映画の日やレディスデーなど割り引きの日も増えた。もっと安く新作が見られる。チャリティという名目があるので、割高でもチケットを買うのだ。主催側の施設などに使われる事を思って払うのだ。

せめて、明るい気分になれる映画にして欲しいものだ。


ぼくたちの家族 (幻冬舎文庫)

STAFF
監督 石井裕也
脚本 石井裕也
原作 早見和真
製作 竹内力 小西啓介 狩野善則 堀義貴 木滝和幸 若山泰親
音楽 渡邊崇
撮影 藤澤順一
編集 普嶋信一
製作会社 「ぼくたちの家族」製作委員会
配給 ファントム・フィルム
公開日 2014年5月24日
上映時間 117分

CAST
若菜浩介 妻夫木聡
若菜俊平 池松壮亮
若菜玲子 原田美枝子
若菜克明 長塚京三
若菜深雪 黒川芽以
ユースケ・サンタマリア
鶴見辰吾
板谷由夏
市川実日子


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