映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット版」感想

最初にこの完成形があって、そこから色々とカットしたのが公開版らしい。つまり押井監督自身が「追加映像など入れていない」と主張するのも、さもありなん。ディレクターはカットなどしていないのだと。
その逆説的な言い方もまたらしくていいと思える人になら、今回見る事が出来た、一見蛇足に思えるシーンの中に含まれた暗喩や伏線が、作品に与える意味を感じ取れるのではないだろうか。チープに見えるギリギリ、下世話に見えるギリギリで、奈落の底の暗さをチラ見せする、いつものやり方、怠惰に流れる濁った川の底に沈む真実を。
いつも思い、いつもあらためて感じるのだけれど、実写でありながら、どの場面も即座にアニメの絵として脳内変換が可能なのだ。たとえば、灰原の見事なゴール、「すげー!」と叫ぶ佑馬。しかし俳優は1枚の絵よりも多くの情報を発信出来るという監督の実写への見解通り、二人の瞬時に動く表情や感情のやりとりをアニメで同じように描くのは難しいだろう。
初期の頃の実写の、アニメ風に誇張されて行き過ぎた表現に比べれば。
アニメ的な動きを役者に強要するのではなく、絵の根本はアニメに置き換えが可能でも、実写だから出来る表現へと落とし込むスタイルが出来上がったというべきか。
それと、これもあらためて・・印象に残るのは、女性の髪のなびき方の美しさ。
”少佐”を思わせる高島礼子の艶やかな髪に纏いつく硝煙の香りまで感じられそうな。最後の15秒にかけた明の張り詰めた顔をふちどる髪は彼女の決意の鼓動のよう。
川井憲次の音楽はいい。いつもながらしっとりと物語に寄り添い、世界を広げてくれる。
映画初見の感想は→こちら

来場特典の名刺カード

今回は灰原零仕様。顔のないグレイゴーストの操縦者。

塩原佑馬役の福士誠治がエースを演じる「スーパー歌舞伎II ワンピース」。週末に観劇予定。こちらも感想をアップしますので。
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STAFF
監督 押井守
脚本 押井守
原作 ヘッドギア
音楽 川井憲次
制作 東北新社/オムニバス・ジャパン
製作 「THE NEXT GENERATION -PATLABOR-」製作委員会
配給 松竹
CAST
泉野 明(いずみの あきら)真野恵里菜
後藤田 継次(ごとうだ けいじ)筧利夫
塩原 佑馬(しおばら ゆうま)福士誠治
カーシャ(エカテリーナ・クラチェヴナ・カヌカエヴァ)太田莉菜
太田原 勇(おおたわら いさむ)堀本能礼
山崎 弘道(やまざき ひろみち)田尻茂一
御酒屋 慎司(みきや しんじ)しおつかこうへい
シバシゲオ 千葉繁
淵山義勝(ぶちやま よしかつ)藤木義勝
高畑 慧 高島礼子
柘植 行人(つげ ゆきひと)香川耕二
灰原 零 森カンナ
小野寺 吉田鋼太郎 (吉田鋼太郎さんは「トクボウ」の鶴井風だった)
南雲 しのぶ(なぐも しのぶ)(演)渋谷亜希(声)榊原良子

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