劇団☆新感線「乱鶯」感想

劇場に入った途端、流れて来たのは、ご存知「木枯らし紋次郎」の主題歌「だれかが風の中で」。これだけで、これからの舞台の雰囲気が伝わる、良い演出。往年の人情時代劇仕立ての筋に、主演が古田新太とくれば、長年のファンには「はずれはないな」と思わせる・・観る方の気分も盛り上がって参ります。
盗賊仲間に裏切られ(裏切りも定番の要素です!)心あるお役人に助けられた鶯の十三郎が、足を洗って源三郎と名前を変え、担ぎ込まれた場末の居酒屋で料理人となった。それから七年、ひょんな事から恩人の息子への恩返しを思い立つ。だがそこに昔の因縁やら悪徳役人の思惑も絡んで、事態は思わぬ方向へ・・・
笑いをふんだんに盛り込みながら、悲劇に転げ落ちていく。
その展開がいつもながらの新感線風味。時代劇でありながら、すっと現代に戻って来る、慣れた役者同士の応酬が安定の面白さ。新橋演舞場の回り舞台の大仕掛けで魅せる演出。役者、脚本、演出が揃って良ければ、後は見入るしかないでしょ。
お馴染みの顔の安心感。
大好きな粟根まことさんの勘助が早々に死んでしまい、え?もう出番終わり?!と思ったけれど、そこはそれ、この人がそんなにあっさり退場するはずはないなと思ったら幽霊で復活w良かった、良かったw狂言回し的な良い役どころで、話の流れを程好く補ってくれる存在。白塗りというか青白塗り、お疲れさまでした!
悪党の火縄の砂吉も橋本じゅんさんなので、憎めない、後味が悪くならない。
すっかり新感線でお馴染みになった大東俊介さんも良い感じ。ボンボンで世間知らずの面はあるけれど、お役目には忠実で馬鹿ではない。時折見せる鋭さがあるから、彼の最期とおりつの慟哭がぐぐっと来るのですよね。
個人的には「相棒」の三浦さんこと大谷亮介さんもうれしい所。カーテンコールで見せた何ともいえない充実の表情に、「相棒」以降の大谷さんの役者人生の充実ぶりが伺われたような。
殺陣はベテランとなった方の身体がちょいと重そうでしたが、途中もたるむ事なく良い舞台でした。「五右衛門vs轟天」よりは人を選ばないので、誰が見ても面白い芝居かも。
ラストの十三郎、抜き身を持ったままの、隅田川の花火に彩られた姿からビンビンと伝わって来る気迫、影のみ見える仇・・・シビれた!!!
劇団☆新感線 2016年春興行 いのうえ歌舞伎<黒> 乱鶯
新橋演舞場 2016年3月5日~4月1日
作 倉持裕
演出 いのうえひでのり
鶯の十三郎 古田新太
お加代 稲盛いずみ
小橋勝之助 大東俊介
おりつ 清水くるみ
火縄の砂吉 橋本じゅん
お幸 高田聖子
勘助 粟根まこと
小橋貞右衛門 山本亨
黒部源四郎 大谷亮介
彦衛門 左近健一
太兵衛 河野まさと
丹下屋総兵衛 逆木圭一郎
お春/お照 村木よし子
半助 インディ高橋
おとき 山本カナコ
弥吉 礒野慎吾
松下新五郎 吉田メタル
お竹/お夏 中谷さとみ
おさ多 保坂エマ
なまずの又次 村木仁
真造 川原正嗣

今回は桟敷席でした。歌舞伎の時にはまず座る事の出来ないお席。相撲の桟敷とは違って掘りごたつ式に足が入れられるので、楽です。相撲の桟敷、ある意味苦行ですw

眺めはこんな感じです。新感線jはチケットを取るのが大変なので、苦渋の選択でもありました。

正直な話、普通の席に座ってみる方が、舞台をじっくりと見るには良いなと。ステータスという意味はあるのでしょうが。移動せずにお弁当をいただけるのはいいかな。

平成28年3月公演記念御献立 みだれうぐいす御膳
八寸
玉子焼 海老芝煮 鯵塩焼 白魚の唐揚げ 豆腐のカプレーゼ(豆腐・トマト・アボガド) 鶏麹味噌焼き 菜の花白和え 大和芋鮫軟骨梅肉和え添え はじかみ
刺身 鰹のたたき 鯛
豆腐料理 演舞場風雷豆腐(豆腐と茄子の特製たれ焼)
御飯 俵型押し飯 大根味噌漬け
お吸い物 結び鱚 三つ葉 柚子

劇中で登場した雷豆腐も・・・そういえば、お吸い物に使われている鱚もわがまま娘のリクエストで出て来ましたね。
お弁当に関しては・・明治座>新橋>歌舞伎座かな。新橋も今回よりワンピの時の方が・・良かった。白魚の唐揚げが噛み切れなくて泣きました。大和芋鮫軟骨梅肉和え添えは良かった。雷豆腐は濃い味付けで、お酒には良さそう。

銀座文明堂の焼き立て"三笠"パンケーキ
劇場を出て、歌舞伎座をざっと見て・・時間があれば幕間席も見たかったけれど。近くの銀座文明堂で舞台の余韻にひたりつつ、感想などを・・・どら焼き「三笠山」の生地の焼き立て。薄っすらと甘くしっとりとして、普通のパンケーキとは異なる味わいだけれど美味しい。餡も特別だとか。

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