映画「64-ロクヨン- 後編」感想

64

県察の隠ぺいを暴く為に、被害者が犯罪者にならねばならなかった悲劇

保身に天下り、人間の屑がエリート面して甘い汁吸い放題。怠惰と怠慢が身に染みつき過ぎて何もしない警察。心ある者がいても権力が圧倒する。14年の時をかけて、被害者の父親は執念で犯人を捜し当てた。だが警察に言えば握りつぶされるのはわかっていた。だから、ああするしかなかった。

犯人は自らの罪を認めない。証拠がなければ捕まらないと警察を馬鹿にしている。何よりも事なかれ主義の警察の上層部が、見て見ぬふりをして犯人を野放しにしようとする。刑事の眼をした人間は刑事部にはおらず、刑事部を追われた人間が最後に犯人を追い詰めた。踏みにじられた幾つもの人生をも背負って。

ある意味、パターン化された縮図。腐った上層部、現場の奔走。それが刑事と広報というふたつの立場で繰り広げられる。主人公はその両方の一番辛い場所に立ち続ける。

とりあえず、ハッピーエンドに近い終わり方。

馬鹿官僚は多少痛い目に合わせて、観客の溜飲を下げさせる。横暴なマスコミの中にも真っ当な仕事をしようとする記者がいる。馬鹿官僚が自分への当てつけのでっち上げだとわめいていた事件は本当に存在して、その捜査の真の狙いは14年前の事件の解明。

あぶりだされた犯人。

人の娘を殺しておきながら、自分の娘は守ろうとする犯人。何も知らない犯人の妻と娘は壊れてしまう。それが犯人への何よりの罰なのかも知れない。そして罰を与えた側もまた無傷ではない。

ひとつの犯罪の引き起こしたあまりにも無残な波紋

関わった人間は、誰もが人生に傷を負う。さらに彼らの傷口を広げようと画策する者もいる。犯人逮捕=終了ではない。不条理、理不尽、そんな言葉が浮かんでは消える。割り切れない思いだけが残る。そんな中でも、かすかな希望を見出して前に進もうとする人々もいる。

なり続ける電話は、希望の印なのか。

役者陣の熱演が支えた映画。カメラワークもいい。これはTVドラマでは作れない絵だなと思うシーンが幾つもあった。「映画を作ろう」という思いが伝わってくるような。


ラストシーン デラックス版 [DVD]


TBSが主体の映画。TV局に実権を握られた現場を描いた映画「ラストシーン」を思い出す。あの映画の中では、現場育ちの人間達が意地を見せたのだけれど。この映画の現場では、誰が意地を見せたのだろうか。


64(ロクヨン)


STAFF
監督 瀬々敬久
脚本 久松真一 瀬々敬久
配給 東宝
原作 横山秀夫「64(ロクヨン)」(文春文庫刊)
音楽 村松崇継
主題歌 小田和正「風は止んだ」
企画協力 文藝春秋

CAST
三上 義信 佐藤浩市
諏訪 綾野剛
美雲 榮倉奈々
三上 美那子 夏川結衣
目崎 正人 緒形直人
日吉 浩一郎 窪田正孝
手嶋 坂口健太郎
柿沼 筒井道隆
村串 みずき 鶴田真由
望月 赤井英和
漆原 菅田俊
蔵前 金井勇太
御倉 小澤征悦
石井 菅原大吉
落合 柄本佑
三上 あゆみ 芳根京子
日吉 雅恵 烏丸せつこ
辻内 欣司 椎名桔平
赤間 滝藤賢一
荒木田 奥田瑛二
二渡 真治 仲村トオル
幸田 一樹 吉岡秀隆
秋川 瑛太
雨宮 芳男 永瀬正敏
松岡 勝俊 三浦友和
雨宮 敏子 小橋めぐみ


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Tags: 映画

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