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野村萬斎「マクベス」鑑賞

☆もるがん☆

野村萬斎「マクベス」鑑賞

きれいは汚い、汚いはきれい( Fair is foul, and foul is fair)

萬斎はじめ役者達は熱演している。なのにどうして乗れなかったのだろう。和風趣味の演出、歌舞伎も能も狂言も区別出来ない「ワーオ!ジャパニーズ!ワンダホー!」な外人には受けそうだ。この手のなんちゃって伝統芸能風味の舞台に食傷気味なのかも知れない。 本物がみたい。とはいえ歌舞伎の見得とは異なる狂言の萬斎の見せ方は素晴らしい。

5人の役者が繰り広げる1時間35分の舞台。

三人の魔女が、マクベスの周囲の人間を代わる代わる演じていく。すべてが魔女の手の上での幻影とも思える仕立て。男の魔女というのもおかしいという人もいるかも知れないが、ウィッチを魔女と訳したいにしえの翻訳者が悪いのだ。ウィッチクラフトをやる中には男もいる。それを思えば、達者な三人の男役者が魔女でもいいわけだ。

今となっては退屈なシェークスピアの筋書き。トップに立つ器のない男が無理をして自滅する話。戦争で多くの人を殺して来たのに、たった一人の人間の亡霊と殺人の罪悪感に悩まされる滑稽さ。

良心など鼻先でせせら笑う人間でないと出世出来ないのは、今も昔も変わらないのかも知れない。

執拗な台詞、奇妙な踊り。既視感に襲われる。
「古いは新しい、新しいは古い」と言った所か。


【原作】 ウィリアム・シェイクスピア
【翻訳】 河合祥一郎
【構成・演出】 野村萬斎
【音楽監修】 藤原道山

【出演】 野村萬斎 鈴木砂羽 小林桂太 高田恵篤 福士惠二

【美術】 松井るみ
【照明】 小笠原純
【衣裳】 伊藤佐智子
【音響】 尾崎弘征


世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアターは個性的な劇場。少し舞台が低いので親近感がわく分、人の頭が邪魔になる時がある。海外でも評判の舞台。今回は左右に英語字幕が出た。最近はあって当たり前になって来たロビーのカフェもある。

マクベス夫人は公演毎に変わっているらしい。今回は鈴木砂羽、「相棒」の亀嫁。マクベスに悪事をそそのかす夫人には貫禄が足りない気もしたが、無難だったかな。


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