X-ファイル2016 vol.1-6感想

アバンにモルダーの独白、そして懐かしいメインテーマ。全6話のミニシリーズ。
第1話 闘争 Part.1 My Struggle II Review 監督・脚本:クリス・カーター
モルダーとスカリーがFBIを去って10年以上が経った。しかし、かつての上司スキナー副長官が二人を呼び寄せる。異星人によるアブダクトと政府陰謀の関係を証明する新たな証人が現われたというのだ。モルダーたちは再び真実を追い始める。
冒頭では、劇場版「X-ファイル:真実を求めて」(08)のその後のモルダーとスカリーの関係がさりげなく明かされている。ネットニュース番組の人気キャスター、タッド・オマリーを演じたジョエル・マクヘイルは役者、脚本家、プロデューサーなども務めるコメディアンで、2014年に開催されたホワイトハウス記者協会の晩餐会にゲスト招待されネタを披露している。カーターはその様子を見て彼を気に入り、オマリー役をオファーしたという。科学者ガーナーを演じたヒロ・カナガワ(金川弘敦)は旧シリーズのシーズン4「凍結」にも出演していた北海道出身の俳優。現在はカナダを拠点に活動している。ちなみに誕生日はクリス・カーターと同じ10月13日。
過去の映像、射殺された宇宙人。
映画の後に繋がるストーリー。モルダーとスカリーは別れている。原因はモルダーのうつ病。人気キャスターのオマリーとの接触、宇宙人のDNAを持つというスヴェタとの出会い。モルダーは信じていた宇宙人に関する出来事が誰かの捏造だと気づく。一部の権力者のために貧しい一般の人々は実験台にされている。誘拐は宇宙人の仕業ではなく宇宙人の技術を悪用する人間、だが敵が強大過ぎて、モルダーの手には余る。
スカリーは今回もモルダーを信じきれない。オマリーの事も疑っている。スヴェタは失踪、モルダーの見た宇宙船も研究施設も何者かに破壊される。オマリーのサイトも閉鎖。さすがのスカリーも何かがおかしいと感じはじめている。スカリーもスヴェタと同じ?二人の息子ウィリアムの事に少し触れる。敵の目から逃がすために養子に出した息子。スキナーが二人を呼び戻し、X-ファイル課が再開される。初回から盛り沢山の内容。視聴者が混乱したのも無理はない。
第2話 変異 Founder's Mutation 監督・脚本:ジェームズ・ウォン
ニュージェニクス社で社員が異常な自殺をした。長年閉鎖されていたX-ファイル課が再開され、FBIに復職したモルダーとスカリーはさっそく捜査を開始する。二人は会社の"創始者"が、遺伝子操作に関わる忌わしい人体実験を行なっているのではないかと疑う。
"創始者"オーガスタス・ゴールドマンを演じたダグ・サヴァントは『メルローズ・プレイス』(92~97)のマット役が有名。 映画『GODZILLA』(98)ではオニール軍曹を演じている。ジェームズ・ウォンは、グレン・モーガンと共に旧シリーズの初期を支えた脚本家・プロデューサー。本エピソードは、監督としてはシーズン4「紫煙」、脚本家としては同「タトゥー」以来、19年ぶりの参加。モルダー&スカリーの見る幻想の中に現われたウィリアムは三人の子役、ロングワース兄弟が演じている。6歳のウィリアムを演じたのは、実は末の妹ハンナ。彼女は「スーパーナチュラル」(05~)にゲスト出演するなど、二人の兄に負けず、そのキャリアを築いている。
ニュージェニクス社の”創始者”ゴールドマンの謎。何かの音に怯えるサンジェイ博士、彼にしか聞こえない音。サンジェイは研究室にこもり自殺してしまう。復職して久々にバリっとしたスーツ姿のモルダー。サンジェイのゲイ友グプタから彼の二重生活を知る。別宅には遺伝子異常の子供の写真や資料が。そこでモルダーも妙な音に苦しむ。その後、資料は国防総省に奪われ捜査は中断させられてしまう。正式な中止命令が下りるまでの時間、二人は密かに捜査を続行する。
15歳になる二人の息子ウィリアム。彼も実験の産物なのだろうか。ずっと合う事もなく離れて暮らす息子、苦しむ二人。幻想の中で成長した息子の姿を見るスカリーとモルダー。息子にモノリスの話をするのが彼らしいw幻想の中でも息子は何者かに拉致されてしまう。
ゴールドマンは政府にやとわれて人体実験をしていたと妻はいう。妻は精神病院に幽閉されていた。そしてあの甲高い音を聞いていた。それはお腹の中にいる息子からの命令だった。この世界に出たいという。ゴールドマンの二人の子供、モリーとカイル。カイルは姉のモリーを探していた。サンジェイは協力者。ゴールドマンに幽閉されていたモリーを見つけ、カイルの音を操る能力でゴールドマンを殺害、二人は逃走、現場は国防総省の管轄となり、FBIは締め出されるが、モルダーはカイルの血のサンプルを隠し持っていた。サンジェイの携帯といい、あらかじめ邪魔が入る事を前提に行動するモルダー。
第3話 トカゲ男の憂鬱 Mulder & Scully Meet the Were-monster 監督・脚本:ダリン・モーガン
オレゴン州でモンスター絡みの殺人事件が発生する。しかしモルダーは超常現象に捧げてきた過去を振り返り、すっかり自虐的になっていた。しかし事件を追ううち、モルダーは奇妙な男に出会う。そして彼との触れ合いによってモルダーは以前の情熱を取り戻していく。
ガイとは個人名ではなく、ただの「男」という俗称。演じているリス・ダービーはニュージーランド出身のコメディ俳優。彼の服装はカーターが愛してやまないTVドラマ「事件記者コルチャック」(74)の主人公カール・コルチャックと同じである。墓場のシーンでは旧シリーズを支えた名監督、キム・マナーズの名前が刻まれた墓石が登場。マナーズは旧シリーズで50を超えるエピソードを監督し、プロデューサー等も務めたが、番組終了後の2009年に58歳の若さで死去した。フランク・スポトニッツ等、新作に参加できなかった旧スタッフは数多いが、番組は二度と戻ることのないマナーズに対してひとひねり効かせた哀悼の意を捧げている。
妙な怪物が人間を殺害、この手の事件への情熱を失っているモルダー。その彼が怪物と遭遇、写真を撮る。トイレに逃げ込んだ怪物、だがドアを開けると普通の男がいるだけだった。
かなりコミカルな話。人間に噛みつかれて人間になってしまったトカゲ男ガイの話。元に戻れずに当惑しまくるトカゲ男が楽しい。変人モルダーとの会話が楽しい。ファンサービスにスカリーの色っぽいシーンもある(トカゲ男の妄想だがw)怪物は人間を「怪物」だという。確かに、連続殺人犯は人間だった。
第4話 バンドエイド・ノーズ・マン Home Again 監督・脚本:グレン・モーガン
ホームレスの強制立ち退きに関わっていた男が何者かに身体を引きちぎられて殺害された。捜査を開始したスカリーの元に、彼女の母が倒れたと連絡が入る。スカリーの苦悩と連続怪死事件の謎が絡み合う中、モルダーとスカリーは絆を深め合っていく。
オリジナルシリーズでスカリーの母・マーガレットを演じたシーラ・ラーケンが再登場。ちなみに彼女の夫は旧シリーズで監督・プロデューサーなどを務めたR・W・グッドウィン。バンドエイド・ノーズ・マンを造ったアーティストでトラッシュマンと呼ばれている男を演じたのはティム・アームストロング。彼はパンク・ロックバンド"ランシド"のボーカル兼ギタリストとしても活躍している。怪物バンドエイド・ノーズ・マンを演じたのはカナダ出身で身長が2メートル6センチあるジョン・デサンティス。「ヤング・スーパーマン」(03~11)、「スーパーナチュラル」(05~)など、多くの作品で巨漢を生かした怪物、怪人役を多く演じている。
巨漢、怪力の殺人犯。ホームレスのためにと言いながら自分たちの利益をむさぼる人間達が殺されていく。芸術家の生んだ幻想なのか、黒魔術の産物なのか。謎のままの結末、さも自分が東洋の神秘で作り出したかの如くに語る男に、用語の間違いを逐一訂正するモルダーがいい。
捜査の途中でハハキトクの電話を受け取り乱すスカリーに、モルダーは母親の所に行くように勧める。母はチャーリーという末息子の事は口にしたがダナの事は呼ばなかった。そして弟から電話、スカリーとかけつけたモルダーの見守る中、母親は息を引き取る。最後の言葉は孫の名前、ウィリアム。ウィリアムの謎はこの先も絡んで来るようだ。
第5話 バビロン Babylon 監督・脚本:クリス・カーター
テキサスのギャラリーで自爆テロが発生。現場にいた人々は黙示録に記されている天使のラッパのような音を聴いたという。この不可解な事件を担当する若い二人のFBI捜査官が、助言を求めてX-ファイル課にやってきた。モルダーたちは彼らに協力することに……。
イスラム系の自爆テロというセンシティブな要素を扱っているのが、あえてタブーに挑むのがカーターらしい。「X-ファイル」の復活が発表されてから、旧キャストのうち誰が出演するのかは常に話題の的だった。ローン・ガンメンの三人の出演が決定したと報じられると、どのように登場するのかファンは興味津々だった。本エピソードではそんな彼らの勇姿(?)にとうとう再会できる。死亡したはずの彼らが、どういう形で登場するかは観てのお楽しみ。今回から登場するFBIのミラー捜査官とアインシュタイン捜査官。このフレッシュコンビを主人公にしたスピンオフの噂もある。ちなみにミラーというネーミングはドゥカブニーの次男と同じである。
マジックマッシュルームでハイになったモルダーが楽しい。SMごっこや妙な踊りも披露する。だがモルダーは幻覚で拡張された世界で生き残った犯人と接触、彼の母親を探し出す。夢の中で犯人がバビロンという言葉を言ったのを思い出すモルダー。アラビア語の解るミラーはバビロンホテルの事だと推察する。そこはテロリストの巣窟だった。ミラーはモルダーの劣化版、「自分がいつも正しい」と主張するアインシュタイン捜査官には、スカリーの知的な聡明さは感じられない。この二人は、モルダーとスカリーと接する中で変わっていくのだろうか。
先に移民して来たアメリカ人は後から来たアラブ人が自分達の税金で保険や保護を与えられているのに激怒している。国連のアメリカをつぶすための陰謀だと主張する女は生き延びたテロリストの延命装置のスイッチを切る。洗脳は何処にでもあり利益を得たい人々もどこにでもいる。
殉教者として死なせるために子供を産む母親はいない。モルダーの言葉にスカリーは同意する。不幸にするために、彼女も息子を生んだのではない。
第6話 闘争 Part.2 My Struggle II
監督・脚本・原案:クリス・カーター 原案アン・サイモンとマーガレット・フィアロン
タッド・オマリーがネットニュースで新たな政府陰謀を暴露した。ほぼ同時にモルダーが失踪する。スカリーは、かつて自分が異星人に誘拐された経験とオマリーの告発が一連の出来事だと気づく。ほどなく全米各地で人々に異常な病変が始まった。
原案にクレジットされているアン・サイモンとマーガレット・フィアロンは、科学考証を行なうアドバイザーとして旧シリーズの頃から番組に協力している科学者。陰謀を暴露するキャスター、タッド・オマリーにはモデルがいる。全米ネットのラジオ番組『コースト・トゥ・コーストAM』のホスト、アート・ベル(※現在、司会はジョージ・ヌーリーが務め、ベルは週末のみ出演)だ。番組は毎晩深夜に放送、エイリアンと人間の混血、心霊体験、世界規模の陰謀などについての話題をリスナーから受け付け、その話題を科学者たちと徹底的に議論している。この番組、全米のリスナーは推定450万人いるという。なお、ベルはエリア51の近隣に住んでいる。
スカリーの独白で始まる回。彼女にもスヴェタと同じく異星人のDNAが。彼女も実験体。このシリーズの始まりで提示された謎、それが最後にまた蒸し返される。X-ファイルの根本、異星人の謎。失踪したモルダー、再開したオマリーの番組、再び動き出した闇の力。
暴行を受けた形跡のあるモルダー、車で逃走、スキナーの電話にも出ない。それは権力者の側の手がどこに回っているか不明という事。今のモルダーは誰も信じられない。
10年前に辞職したモニカ・レイエス捜査官から突然の電話、彼女が語った真実・・酷い火傷で死にかけた男、シガレット・スモーキング・マンは生きていた。エイリアンによる入植計画は続いている。モニカは自分とスカリーは守られているという。ゲノムの異常はその証なのか。モルダーはシガレット・スモーキング・マンと対峙する。手遅れだというシガレット・スモーキング・マン、モルダーは取引を拒絶。モルダーも感染する。スカリーに執着するシガレット・スモーキング・マン、親子は同じ女性に執着するのか。
地球を破壊するのは人間、人間を抹殺して地球は宇宙人のものになる。新たな世界が始まるまで、残りは後一週間。選ばれなかった人間は細菌性疾患にかかる。蔓延する病気、病院にあふれる患者、死者も増えていく。混乱はアメリカのみでなく欧州にも広がり始めている。
闇雲に否定するだけの自分賢い病のアインシュタインと違い、小型モルダーのミラーは独自に調査を始める。予防接種と軍人と炭そ菌の関係、アインシュタインはヒステリックに否定だけしていたが、世界に起きた出来事を受け入れざるを得ない。同じDNAの操作でも、異星人のDNAを持った者とそうでない操作をされた者がいるとスカリーは推測する。スカリーとアインシュタインは方法を模索する。宇宙人のDNAを特定し、ワクチンを作るスカリー。
ミラーはモルダーをシガレット・スモーキング・マンの元から助け出す。アインシュタインも倒れる、ミラーも感染、オマリーも放送を続けられない状況に。ガス欠で動けないミラーの車、スカリーは二人を迎えに行く。ワクチンを手にして。だがモルダーの具合は深刻、息子のウィリアムの幹細胞が必要だとスカリーが言った瞬間、空から光が・・・・・
世界がどうなったのか、わからぬままの幕切れ。らしいといえば、らしいなw
父の引き起こした計画を息子が阻止しようとし、病に倒れた彼をそのまた息子が助けるのか?命の連鎖は人類の存続の証なのか?それが善悪を越えて揺れ動きながら。運命を揺らすのは異星人なのか?
ミラーとアインシュタインに関しては・・次世代のX-ファイル課の構想なのだろうけれど、アインシュタインの可愛げのなさが壊滅的。ほうれい線のぶつぶつも気になる。知性も感じられない。ここは余裕を持ってミラーを制する位でないと。
The X-Files: Season 10
STAFF
製作総指揮:クリス・カーター、グレン・モーガン、ジェームズ・ウォン
製作:ダリン・モーガン、ゲイブ・ロッター
撮影:ジョエル・ランザム
音楽:マーク・スノウ
サイエンス・アドバイザー:アン・シモン(生物学者)
CAST
フォックス・モルダー デイビッド・ドゥカブニー(小杉十郎太/風間杜夫)
ダナ・スカリー ジリアン・アンダーソン(相沢恵子/戸田恵子)
ウォルター・スキナー ミッチ・ピレッジ(島香 裕)

fc2が不調の際はお手数ですがTB用ミラーブログをご利用下さい
Comments 0
There are no comments yet.