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シネマ歌舞伎「阿古屋」感想

☆もるがん☆

阿古屋

ただ舞台を映像にしたのではない。

冒頭で、多くの人々が、その技が、大道具、小道具、楽器その他諸々が舞台を支えているかを、玉三郎の語りで教えてくれる。すべてのエネルギーが高まり、どんどんと開幕の瞬間へと集約していく緊張感。ドキュメンタリー仕立てから、黒・柿・萌黄の歌舞伎座の定式幕が開いた途端、芝居の世界へとなだれ込んでいくすべて・・

良い構成。

『阿古屋』は通称「琴責め」とも言われ、琴・三味線・胡弓の三曲を阿古屋自ら演奏するという趣向が眼目の演目。3つの楽器の弾き分けをはじめ、傾城の気品や色気、景清を想う心理描写も表現しなければならず、女方屈指の大役と言われるそうで。

現在、演じられるのは玉三郎のみ

ただ奏するだけでも難しい、それぞれの楽器も安易な扱いは出来ない名器。歌舞伎にすべてを捧げて来た玉三郎の華麗なる美、その生き様すら、音と共に押し寄せて来るようで圧巻。なんだろう、これは。奇跡がそこにある。スクリーンの中に。本物を見たかったと思う。

重忠の菊之助のまさに歌舞伎役者の典型ともいえる姿も眼福。作り物の眉まで動く、岩永左衛門の人形振りも面白く。愛しき人の居場所を知られまいと、心引き締めて楽器を奏でる阿古屋は、遊女であれど景清に対しては貞女を貫く、あっぱれな女として描かれています。

部下の岩永に、名代の遊女の演奏を自分が楽しみたいだけじゃねーの!的なツッコミも入れられるわけですが、そこを重忠が真面目な風に諭すのも、風流、粋というものでしょう。




公式HPよりあらすじ
平家滅亡後、鎌倉の源氏方に追われる平家の武将・景清の行方詮議のため引き立てられた、恋人阿古屋。景清の居場所を知らぬと述べる阿古屋に、代官・重忠は心に偽りがあれば演奏の音色が乱れるはずだとして、琴・三味線・胡弓の三曲を演奏させる。しかし、阿古屋は乱れの無い見事な演奏を披露し、解放されるのであった。



上演月:2015年(平成27年)10月
上演劇場:歌舞伎座
シネマ歌舞伎公開日:2017年1月7日
上映時間:93分

配役
遊君阿古屋:坂東 玉三郎
岩永左衛門:坂東 亀三郎
榛沢六郎:坂東 功一
秩父庄司重忠:尾上 菊之助



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