シネマ歌舞伎「女殺油地獄」感想

シネマ歌舞伎「女殺油地獄」感想

仁左衛門の着流しが素敵過ぎる!!

こうやってかつての舞台を保存出来るのは良い事だと思うのです。勿論、ナマで見るに越したことはないのですが、歌舞伎座は遠いのです。物理的な距離だけではなく、まずは席の確保からして大変だし。この方面に気合を入れる事がかなわない日常になってしまった今、シネマ歌舞伎が近場で上映されるのは、とてもありがたい事です。

この時ではないですが、舞台を観ています。

与兵衛は今でいうニートでしょうか、親の金で遊びまくって目先の事しか考えようとしない。そんなダメ男を本来は品のある仁左衛門が演じます。そしてあまりの反省のなさに勘当され、それでも性懲りもなく借金でクビが回らなくなって・・でも、そんな息子でも陰で支えようとする心の闇、親心が悲しい。それに巻き込まれて殺されてしまう美人妻お吉が哀れ。

「不義になって貸して下され」

もしお金を用立てたりしたら、嫉妬深い夫に不義をした仲だから貸したのだろうと疑われると言って断ろうとするお吉に与兵衛がいう台詞。何とも身勝手ながら、あまりにテンパリ過ぎて自分でも何を言っているのか分かっていない様子が、与兵衛という男を実に良く表している台詞です。

その後の夜の暗さに油屋で起きた惨劇・・こぼれた油ですべる床、逃げ惑うお吉、追う与兵衛。

ここまでの途中はコミカルな場面も多々ある中、ここは異様な緊迫感が漂います。まさに仁左衛門ならでは。生来が気品のある人だから出来る凄み。これが下衆なチンピラしか出来ない役者だったら、こうは行きません。上品は下品になれるけれど、下品は上品にはなれないのですよね。

シネマ歌舞伎ならではの、アップの表情の凄まじさ。

良くある勘違い舞台中継の顔やバストアップばかりを連発するのとはまったく違う。引いて舞台全体の景色も見せながら、要所でアップを入れる緩急が上手いです。これは腐っても松竹、映画と歌舞伎で鍛えた伝統が生きた技なのでしょう。




上演月:2009(平成21年)6月 上演劇場:歌舞伎座

配役
河内屋与兵衛:片岡 仁左衛門
豊嶋屋お吉:片岡 孝太郎
山本森右衛門:坂東 彌十郎
娘お光:片岡 千之助
小栗八弥:坂東 新悟
妹おかち:中村 梅枝
刷毛の弥五郎:片岡 市蔵
皆朱の善兵衛:市川 右之助
兄太兵衛:大谷 友右衛門
父徳兵衛:中村 歌六
芸者小菊/母おさわ:片岡 秀太郎
豊嶋屋七左衛門:中村 梅玉


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タグ:映画 歌舞伎 女殺油地獄 片岡仁左衛門

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