昭和元禄落語心中 助六再び篇まとめ見感想

与太郎が三代目助六となり、小夏と結婚。後の五代目有楽亭菊比古となる信乃助を二人で育てる。
老いた八代目八雲の晩年、死後までの物語。
次世代の物語となり、助六と八雲の山寺宏一さんと石田彰さんの芸を堪能した先のシーズンに比べると、その手の楽しみは少ない。まだ助六になりたてで芸が荒い所を関さんがあえて演じていると思ってみれば、それはそれで、遊佐さんの萬月師匠が良い絡み方をして来る。
人は変わり、世は移ろう。
それでもその底にあるのは、みよ吉という女に翻弄された男二人の物語。因果は巡り、助六も八雲もあの世へ旅立ったというのに、女の怨念は、その血の果てまでも絡めとっていくようだ。怖い、怖い。
謎は謎のまま。
信乃助の本当の父親は明かされない。だがあの親分さんというのも、あまりにも唐突過ぎるし、八雲師匠というのも今までを考えれば、むしろ一番不自然。それにしても、下衆の女の血は娘にも流れているのが面白い。そうやって、人に噛みついて振り回していくメスライオンの如き気質は、娘を生まなかった事で、小夏で絶えるかと思いたいが、その数代先にまた現れ、才能ある男を食いちぎって高笑いしそう。
怖い、怖い・・・げに恐ろしきは女よのう・・・・
(寄席囃子も賑々しく・・・・・・)
やはり、続編は続編。本編にかなわぬは道理。面白くないわけではなかったけれど。八雲師匠に関わる他の部分は蛇足にしか思えなくなってしまうのが辛い。あのしっとりとした芸を楽しんだ後に、荒すぎる次代の助六が辛い。身勝手な小夏が好きになれない。確かに、その後の物語を知りたいと思ったけれど、コレジャナイと感じてしまうのは、半分はこちらの我がままなのだろうが。

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