アニメ「少女週末旅行」まとめ感想

瀕死の世界、二人の少女の他に生き物の気配すらない。沈黙の中で、まだかろうじて動く機械、風、雨の音が時折木霊する。
「プライベート・ライアン」に出てきた半装軌車ケッテンクラートで進む世界。車の燃料と人間の燃料のレーション(食物)を探しながら、どの位の時間を少女たちは彷徨って来たのか、それもさだかではない。
わかっているのは、遠からぬ時に世界は死に絶えるという事。
雨に濡れ、お風呂に入り、お菓子のようにレーションを焼く。めったに合わないがまだ生存している人間にあう。各所で奇妙な像を見つけ、ヌコなる生き物を拾う。物語は淡々と進行していく・・彼女達の最期に向かって。桃源郷も理想郷も何処にもない。救ってくれる英雄も大人もいない。いるのは地球上の武器を無効化する役目のあるエリンギという不思議な存在。
この世界に生きているのは、チトとユーリだけだと、エリンギは告げる。(つまりこの時点で、二人の出会ったカナザワもイシイもおじいさんも死んでいるという事。少しだけぞくっとする)少女達も何処かでそれを受け入れている。そして最期の時間まで、そのまま、今のまま、生きる事を選んだ。
妙な盛り上げも媚もない。簡略化されたキャラデザインと綿密な機械の描写のコントラストが、世界の透明感を作り上げている。日常系アニメなのかもしれないが、実は非日常の異常事態の物語なのだ。ゆるさと怖さがまじりあって、遠くへ置き去りにした痛みを諦めではなく希望で包んで、世界は優しく滅びていく。そんなアニメ。
STAFF
原作・シナリオ監修 つくみず(新潮社「くらげパンチ」連載)
監督 尾崎隆晴
シリーズ構成・脚本 筆安一幸
設定考証 - 鈴木貴昭
キャラクターデザイン・総作画監督 - 戸田麻衣
ケッテンクラートデザイン・モデリング - 相馬洋
音響監督 明田川仁
音楽 末廣健一郎
音楽プロデューサー 若林豪
アニメーション制作 WHITE FOX
製作 「少女終末旅行」製作委員会
CAST
チト 水瀬いのり
ユーリ 久保ユリカ
カナザワ 石田彰
おじいさん 清川元夢
自律機械 梶裕貴
ヌコ 花澤香菜
エリンギ 島本須美
少女たちの出会った人々の声が、みんなエヴァなのが、私的にはちょっとツボ。異様な湖で座っていたカヲルくん、シンジ君を助けるために命を投げ出したミサトさん、世界を崩壊させる嵐を達観して眺めていた冬月。
見てから時が経ってしまったけれど、覚書用に。
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