映画「ブラックパンサー」感想

いつもの大味ザックリのマーベル映画。だがアフリカンテイストが強烈!
LGBTとか人種差別とか色々への過剰な配慮ばかりで腑抜けになってしまった映画が多い中、これはこれで自分たちの文化を愚弄したという層が出て来るかも知れないと思ったが、独裁や内戦やらでかの地では映画を見る余裕がないから大丈夫という事なのだろうか。
ワカンダの女戦士が素晴らしい!!!
映画の魅力の大半がこれではないかと思われるほど。褐色のスキンヘッドに金の太い首飾り、槍を操り勇猛果敢に戦う女戦士たち。彼女達の忠誠心もあまりにも強く、国のためなら恋人でも刺し殺す勢い。
実際、ブラックパンサーがヘタレ気味で魅力が乏しい。裸になっても悪役のキルモンガーの方が逞しく全身に強さがみなぎる。神秘のハーブでチートしているだけだと言われても仕方ない。威厳もないし、これはミスキャストではないかも思ってしまうほどに。とにかくお母ちゃんや妹や彼女に助けられてやっと勝てるという。
これは「ヒーローとして、国王としてどうなの?」と思うのですよ。
その分、女性陣が生き生きとしていて魅力的。
昔の特撮映画の土人さん(あえて言いますが)に近いノリで描かれるワカンダ。リニアモーターカーの走る未来的な街と原始的な村の様子や野蛮な決闘が今ひとつ繋がらなくて、実際のワカンダの人々の生活が想像出来ないのも辛い。

確かにブラックパンサーの登場シーンや「ライオンキング」を思わせるアフリカン全開の音楽だの、面白いと思う要素は沢山あるけれど・・どうかな、今ひとつ乗れない。戦闘シーンが単調なのが辛い。殴り合いだけだしね。王族の確執がとってつけたような印象で、取り残された子供のエピソードなどもう少し最初に盛り込んだ方が良かった。そうでないと彼の憎悪が伝わらない。それとティ・チャラの苦悩も薄っぺらい。
「シェイプ・オブ・ウォーター」を先に観てしまったのが不味かったかな。
あの綿密に作られた映画を見てしまうと、マーベル映画の雑さが目についてしまうのだよね。マーベルとしてみれば及第だと思うのだけれど。いつものお約束のエンドロール後のウィンター・ソルジャー、バッキーの登場など、アメリカを追われたキャップ達を匿ったワカンダには関心はあるけれど。
国連での演説も中途半端過ぎる。え?あれでお終い?見下して揶揄した”文明国”の代表への返しは何もなし?的な不完全燃焼がやりきれない。ブラックパンサーそのものには期待出来ないけれど、周囲の女戦士たちがこれからも活躍してくれるなら、このシリーズも化けるかも知れないね。
クロウも「え?これだけ?」的にあっさりと退場。
マーティン・フリーマンのロス捜査官は良かった。単なるCIAのステレオタイプの捜査官ではなく、最後は命をかけてヴィブラニウム製の武器が世界に拡散しないように頑張ったし。この後のアベンジャーズシリーズでも登場して欲しい。知らん顔してドクター・ストレンジの隣に立って欲しい。これはシャーロック好きなら誰でも夢見る共演だよね。
スタン・リー御大、今回はカジノでチップをちゃっかり貰ってしまう老人役。どんどん登場時間もセリフも増えているようなw
Black Panther
STAFF
監督 ライアン・クーグラー
脚本 ライアン・クーグラー ジョー・ロバート・コール
原作 スタン・リー ジャック・カービー
製作 ケヴィン・ファイギ
音楽 ルドウィグ・ゴランソン
撮影 レイチェル・モリソン
編集 クラウディア・カスティージョ マイケル・P・シャウバー
製作会社 マーベル・スタジオ
配給 ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語 コサ語 イボ語
CAST
ティ・チャラ / ブラックパンサー チャドウィック・ボーズマン 田村真
エリック・“キルモンガー”・スティーヴンス / ウンジャダカ マイケル・B・ジョーダン 津田健次郎
ナキア ルピタ・ニョンゴ 皆川純子
オコエ ダナイ・グリラ 斎賀みつき
エヴェレット・ロス マーティン・フリーマン 森川智之
ウカビ ダニエル・カルーヤ 中井和哉
シュリ レティーシャ・ライト 百田夏菜子
エムバク ウィンストン・デューク 木村昴
ラモンダ アンジェラ・バセット 幸田直子
ズリ フォレスト・ウィテカー 玄田哲章
ユリシーズ・クロウ アンディ・サーキス 広田みのる
アヨ フローレンス・カサンバ 織部ゆかり
ティ・チャカ ジョン・カニ 佐々木敏
ウンジョブ スターリング・K・ブラウン 遠藤大智
マイケル・B・ジョーダンは「クリード」の時も良かったものね。今回も主役食ってたね。フォレスト・ウィテカーも「ローグ・ワン」といい立ち位置がこういうキャラだと映えるよね。クリマイのスピンオフの失敗は彼を中心にすえてしまった事だと思う。
吹き替えがシャーロックとワトソンはマーベル映画でも三上哲さんと森川智之さんなのもいい。声優を変えた事で成功したドクター・ブルのような例もあるけれど、変えない方が好感度が高い場合も多い。

fc2が不調の際はお手数ですがTB用ミラーブログをご利用下さい
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- 2018.03.05 (Mon) 14:47 | 気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-
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- 劇場鑑賞「ブラックパンサー」
- 詳細レビューはφ(.. ) https://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201803010000/ ブラックパンサー ザ・アルバム [ (オリジナル・サウンドトラック) ]価格:2700円(税込、送料無料) (2018/2/24時点)
- 2018.03.05 (Mon) 19:56 | 日々“是”精進! ver.F
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- ブラックパンサー・・・・・評価額1750円
- 守るべきか、分かち合うべきか。 2016年に公開された「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でMCU初登場を飾った、アフリカ出身のスーパーヒーロー、ブラックパンサーの単独作品第一弾。 世界やら宇宙やらを救ってしまう「アベンジャーズ」系と違って、超科学王国ワカンダの王位継承を巡るお家騒動の話で、その意味では「マイティ・ソー」に近いのだが、過去のマーベル作品とは違った“正義に関する葛藤...
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- アフリカのワカンダ王国は実は超文明国で、桁外れのパワーを持つ稀少鉱石ヴィブラニウムの産出国だった。 しかし、歴代の王は鉱石が悪用されないよう秘密を守ってきた。 青年ティ・チャラは「国王」そして国の守護者「ブラックパンサー」として即位する。 その頃、謎の男が、ヴィブラニウムを狙う武器商人と手を組み、ワカンダへの潜入を企てていた…。 SFアクション。
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