映画「GODZILLA 決戦機動増殖都市(舞台挨拶中継)」感想
2万年で巨大化したゴジラ、そして2万年後にメカゴジラは・・・
もう、あの人の脚本ですから、救いようのない展開がデフォルトだと分かっているのですが・・いや、まだ村井さんがいる、村井さんがいてくれると呪文のように唱えて観るのが正しい作法となるのでしょうか。今回も満載の絶望&苦悩、種族間の超えようのない信念と確執。それでも進む為にハルオは立ち上がり、更なる絶望の底に突き落とされる・・・これだけ絶望だらけで、本当に三部作で終わるのでしょうか。
目覚めたハルオ。かすかな鱗粉の光、それは希望なのか。2万年を経た地球で生き延びていたのは、自らをフツアと呼ぶ人類。地下に住み、かつてゴジラに敗れた彼らの”神”の卵を守っている。テレパシーを使う。彼らの一族の中で特別な存在の双子の少女達。ハルオを助けたミアナ、ハルオ達を敵視するマイナ。ラッザリ博士はフツアの知性と言語能力の高さに驚愕、そして彼らに昆虫の遺伝子が混じっていると指摘する。ハルオを癒した鱗粉は後にまたハルオを救う事になる。
双子、卵・・とくれば、アレですよね。過去のゴジラ作品へのリスペクトはここでも良い形で登場。ネタバレ満載なので鑑賞前は絶対に読んではいけないパンフレットによれば、フツアはそのものずばりインファントと仮称されていたそうですし。
「こう来たか!」と思ったのは、メカゴジラの使い方。
あれだけ宣伝でメカゴジラ出ます出ます言っていて・・ええ、確かに出ましたよ。でもそれを詐欺と怒る気にはなれなかった。破壊されたメカゴジラの頭部の人工知能が生き残り、逆に壊れた事でリミッターがはずれ、2万年の間にナノメタルが増殖し続け、巨大な都市を作り上げていたという驚きの展開。
そこで起きる出来事が、ハルオの心を引き裂いていく。
ナノメタルを作ったビルサルドにとって、感情を捨て肉体を捨てナノメタルと同化する事は進化であり、出来ない者に価値はない。エクシフは人である事を捨ててまでゴジラに勝って何になると主張する。ハルオは種族間の信頼が思い込みに過ぎなかったと思い知らされ、その甘さゆえにユウコを失ってしまう。ゴジラ討滅の可能性をつぶしてまで、ビルサルドに仕組まれたナノメタルとの同化からユウコを救おうとしたのに。
だがユウコの死は自業自得の一面もある。ミアナへの嫉妬からハルオの言う事を素直に受け取れず、無謀な行動へ出てしまう。ハルオへの強引なキスもその表れ、あー、フラグが立ってしまったと思った方も多かったでしょう。

一作目よりも面白かったです。世界が固まった上で作ったという事もあるでしょう。スタッフもキャストも着地点を見い出せて来たというか。ヴァルチャーとゴジラの攻防も見応えがありました。ここで掴んだ手ごたえを生かして、「星を喰う者」で更なる驚きと感動を見せて欲しいものです。鱗粉とナノメタルの相性の悪さも説明されるのかな?
上映前に、TOHOシネマズ新宿にて行われた舞台挨拶をライブビューイングで見る事が出来ました。
宮野真守(ハルオ役)、櫻井孝宏(メトフィエス役)、諏訪部順一(ガルグ役)、小澤亜李(ミアナ役)、静野孔文監督、瀬下寛之監督が登壇。和気あいあいとした舞台挨拶でした。寡黙な静野監督とフォローする瀬下監督、このコンビネーションも作品の出来への信頼に繋がりました。ユウコとハルオのキスシーン、メトフィエスとハルオのそれっぽいシーンの絵など、ファンサービスありで。
宮野さんの「ゴジラだよ~」のギャグに「ミニラだよ~」とかぶせてくる諏訪部さん、演出もする方らしく場を作っていくなと。そこにふわっと立っている櫻井さんもらしくていい雰囲気。小澤亜李ちゃんは紅一点ながら握り拳の主張が楽しくて。こういう場面での機転の利かせ方も、役者としての資質の内ですね。
STAFF
監督 静野孔文 瀬下寛之
ストーリー原案・脚本 虚淵玄
シリーズ構成 虚淵玄 村井さだゆき
脚本協力 山田哲也
演出 吉平“Tady”直弘
キャラクターデザイン原案 コザキユースケ
プロダクションデザイン 田中直哉、Ferdinando Patulli
CGキャラクターデザイン 森山佑樹
造形監督 片塰満則
美術監督 渋谷幸弘
色彩設計 野地弘納
音響監督 本山哲
音楽 服部隆之
プロデューサー 吉澤隆
製作 東宝
アニメーション制作 ポリゴン・ピクチュアズ
配給 東宝映像事業部
CAST
ハルオ・サカキ 宮野真守、洲崎綾(幼少期)
ユウコ・タニ 花澤香菜 ハルオの幼なじみ
マーティン・ラッザリ 杉田智和 環境生物学者 イタリア系アメリカ人
アダム・ビンデバルト 梶裕貴 操縦士 ドイツ人
ウンベルト・モーリ 堀内賢雄 移民船アラトラム号の船長 イタリア人
メトフィエス 櫻井孝宏 エクシフの軍属神官(大司教)
エンダルフ 山路和弘 エクシフ族長 軍属神官(枢機卿)
ムルエル・ガルグ 諏訪部順一 ビルサルドの技術士官
リルエル・ベルベ 三宅健太 ビルサルドの軍事教官
ハルエル・ドルド 中井和哉 ビルサルドの族長
ミアナ 小澤亜李 フツアの少女
マイナ 上田麗奈 ミアナの双子の姉
メトフィエスが告げた彼らの星を滅ぼした存在の名前。口にする事すら忌むべき存在、ゴジラすら凌駕するその怪獣の名は・・ハルオの耳にささやいた名前は、エンドロールの後の映像で明かされます。
嗚呼、それも「こう来たか!」です。次作は地球最大の決戦になるのでしょう。

ロビーにいたゴジラ。そういえば、ゴジラの鳴き声はやはりアレでないとね。クライマックスでようやっと聞く事が出来るのです。そこで実感するわけですよ、これはゴジラ映画だと。いい使い方。

fc2が不調の際はお手数ですがTB用ミラーブログをご利用下さい
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- 劇場鑑賞「GODZILLA 決戦機動増殖都市」
- 詳細レビューはφ(.. ) https://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201805180000/ アニメーション映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』オリジナルサウンドトラック [ 服部隆之 ]
- 2018.05.20 (Sun) 16:31 | 日々“是”精進! ver.F
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- GODZILLA 決戦機動増殖都市
- ゴジラを倒した喜びも束の間、地中深くから真のゴジラ<ゴジラ・アース>が姿を現す。 それは2万年もの間、地球で成長を続け生き永らえ、体高300メートル、質量10万トンを超える姿へと進化した超巨大ゴジラだった。 負傷して人型生命体「フツア」の民に救われたハルオたちは、再びゴジラに戦いを挑むことに…。 アニゴジ全三部作第二章。
- 2018.05.21 (Mon) 21:59 | 象のロケット