岸恵子ひとり語り～輝ける夕暮れ～

86歳でコシノジュンコのドレスを着こなす優雅さ、さすが女優。

母の時代の大女優、今もその美しさを香らせているのが素晴らしい。勿論年齢ゆえの変化はあるにしても、毅然とした姿が、場内の人々を魅了する。こういう大きな、気概がある女優はその下の世代では今や絶滅してしまった。映画の黄金期、娯楽の王者だった頃、そこに輝いていたスター達はまさに星（スター）だったのだ。

自作の小説の朗読劇。老女と一回り下の男性との情事は、今の私には刺激が強すぎるけれど、いつまでも人を愛する気持ちを忘れないのは、生きる張り合いを持つ上で大切な事だと思う。リアルな行為がどうというのは別にしても。心は柔らかくいたいものだ。

惜しむらくは、スタッフが今ひとつだった事。

かなり年配の人が多かったせいもあるのか、打ち合わせ不足だったのか、語りの時のスライドがまったく違うものが投影されて、岸さんが戸惑う事が多々あった。せっかくの舞台が台無しだ。スライドといえば、若い時よりも今の方が美しいと感じた。それは時間に磨かれた輝きなのだろう。

「相棒」の時の右京さんの恩師役も忘れ難い。

新宿文化センターは東新宿駅からが近い。向かいにある卵型の建物はスクエニのショップ、アルトニア。


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