映画「X-MEN: ダーク・フェニックス[2D・字幕]」感想

アベンジャーズと比べると、粗雑に扱われている感がある。
こちらもコミックとして息の長い人気作であるのに。若き日のプロフェッサーXとマグニートーになってから、今ひとつ感があったし、人気の高かったヒュー・ジャックマンのウルヴァリンが卒業してしまった事も、映画にとっては不幸な事だった。
ジェームズ・マカヴォイのスキンヘッドが今ひとつ。彼の演じる若き日のチャールズがやさぐれ過ぎて、素敵な禿頭のパトリック・スチュワートとどうしても結びつかなかった。「X-MEN: フューチャー&パスト」で新旧のプロフェッサーXとマグニートーを出さねばならなかったのは、その違和感を私以外にも感じた観客が多かったせいだろう。
マグニートーのマイケル・ファスベンダーは魅力的で、静かに暮らしたいと思いながらも、ミュータントへの悪意に向き合わねばならない苦悩を良く演じていた。一方のチャールズは、ご都合主義で自己中で、人間とミュータントの深い溝を見ぬふりをして、事態を深刻にしてしまった。あまりにも愚か過ぎた。まったくプロフェッサーの名にふさわしくない。ジェームズ・マカヴォイ自身は良い役者、大体は脚本のせいだと思われる。
このシリーズは、キャラクターの描き方に失敗が多かったし、上手く物語に反映出来ていない印象が強い。残念だ。
レイヴンの役者が変わってしまったのも、シリーズには不幸だった。今回の髪型もあまり良くなかったし、あっさりと死に過ぎた。ジーンの役者も違和感がある。ウルヴァリンやサイクロプスの惚れる知性と母性を併せ持った優しさを感じさせるジーンではなかった。以前のジーンの印象が良すぎた。キャプテン・マーベル似の愛想のない人では感情移入は難しかった。だから盛り上がらなかった。あの優しいジーンがと観客が思うように、ジキルとハイドの如く恐ろしく極端に変貌しないと、ダーク・フェニックスの意味がない。
宇宙人の侵略も、いきあたりばったりで貧弱過ぎる。
ビーストは悪くなかった。良く物語を牽引してくれた。クイックシルバーとナイトクローラーも良いキャラに仕上がっていて、この先のマーベル映画の何処かで再登場して欲しいと思う。

映画館に飾ってあった学園のジオラマ
ラスト、学園はジーン・グレイ学園と名前を変え、チャールズは引退、ビーストが責任者となる。カフェで退屈そうに座っているチャールズ、そこにエリックがやって来て対面に座る。折りたたみのチェス盤を手にしている。長い紆余曲折の末、のどかな街角でチェスをする二人。
あれだけの犠牲を出して、ミュータントが拘束もされず(特にマグニートー!)、自由に暮らしているのは、宇宙人から地球を護った恩恵によるのか、X-MENの今までの功績を考慮してなのか。疑問は残りつつも、或る意味、ハッピーエンド。
チェスと言えば、やはり映画の終盤、イアン・マッケラン演じる老いたマグニートーが力を失って無害と断定されたのか、自由の身となり、公園の片隅でチェスをしている場面。駒を取ろうと伸ばした指先をふと止めるマグニートー、かすかな振動がチェス盤に広がる、能力復活の兆し。あの場面を思い出した。
Dark Phoenix
STAFF
監督 サイモン・キンバーグ
脚本 サイモン・キンバーグ
音楽 ハンス・ジマー
撮影 マウロ・フィオーレ
編集 リー・スミス
製作会社 20世紀フォックス バッド・ハット・ハリー・プロダクションズ ザ・ドナーズ・カンパニー マーベル・エンターテインメント TSGエンターテインメント
配給 ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ 20世紀フォックス
CAST
ジーン・グレイ / ダーク・フェニックス ソフィー・ターナー 能登麻美子
チャールズ・エグゼビア / プロフェッサーX ジェームズ・マカヴォイ 内田夕夜
エリック・レーンシャー / マグニートー マイケル・ファスベンダー 三木眞一郎
レイヴン・ダークホルム / ミスティーク ジェニファー・ローレンス 牛田裕子
ハンク・マッコイ / ビースト ニコラス・ホルト 浅沼晋太郎
スコット・サマーズ / サイクロップス タイ・シェリダン 木村良平
オロロ・マンロー / ストーム アレクサンドラ・シップ 志田有彩
カート・ワグナー / ナイトクローラー コディ・スミット=マクフィー 内山昂輝
ピーター・マキシモフ / クイックシルバー エヴァン・ピーターズ 吉野裕行
セレーネ コタ・エバーハード 藤田曜子
アリキ アンドリュー・ステリン 白熊寛嗣
謎の女ヴーク ジェシカ・チャステイン 浅野真澄
戦闘における能力の使い方がこのシリーズの見せ場だが、マグニートーが一番楽しめた。クイックシルバーも絵が作りやすい能力で得をしている感。

fc2が不調の際はお手数ですがTB用ミラーブログをご利用下さい
Comments 0
There are no comments yet.
Leave a reply
Trackbacks 7
Click to send a trackback(FC2 User)- この記事へのトラックバック
-
- 劇場鑑賞「X-MEN ダーク・フェニックス」
- レビューは↓ https://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201906210001/ 週刊文春シネマ特別号「X-MEN」シリーズ最強ガイドブック (文春ムック)
- 2019.06.28 (Fri) 05:34 | 日々“是”精進! ver.F
- この記事へのトラックバック
-
- 「X-MEN:ダーク・フェニックス」
- 最後って言われてもなー。
- 2019.06.28 (Fri) 07:26 | 或る日の出来事
- この記事へのトラックバック
-
- 映画「X-MEN:ダーク・フェニックス(2D・日本語字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレなし
- 映画『X-MEN:ダーク・フェニックス(2D・日本語字幕版)』(公式)を公開初日の本日(2019/6/21)に、劇場鑑賞。 採点は、★★★★☆(最高5つ星で、4つ)。100点満点なら 75点にします。。 【私の評価基準:映画用】 ★★★★★ 傑作! これを待っていた。Blu-rayで永久保存確定。 ★★★★☆ 秀作! 私が太鼓判を押...
- 2019.06.28 (Fri) 08:23 | ディレクターの目線blog@FC2
- この記事へのトラックバック
-
- X-MEN:ダーク・フェニックス
- X-MEN:ダーク・フェニックス@TOHOシネマズ六本木ヒルズ
- 2019.06.28 (Fri) 10:58 | あーうぃ だにぇっと
- この記事へのトラックバック
-
- 『X-MEN ダーク・フェニックス』 2019年6月17日 TOHOシネマズ六本木ヒルズ
- 『X-MEN ダーク・フェニックス』 を試写会で鑑賞しました。 本日の3本目。体力的にはかなりキツイが3本とも寝なかった。それは食事を控えめにしたこと。 【ストーリー】 サイコキネシスとテレパシーの使い手ジーン・グレイ(ソフィー・ターナー)の活躍で、X-MENはすさまじいパワーを持つミュータントのアポカリプスを倒した。それから10年後、宇宙でのミッションで発生した事故によってジーンが封...
- 2019.06.28 (Fri) 22:11 | 気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-
- この記事へのトラックバック
-
- X-MEN: ダーク・フェニックス
- 特殊能力を持つミュータントで結成されたX-MENは、政府からの依頼で救出活動を行い、人類とうまく共存していた。 ある日、メンバーのジーン・グレイが宇宙飛行士救出ミッション中に謎の熱放射を浴び、彼女のもう一つの人格<ダーク・フェニックス>が覚醒してしまう。 誰にもコントロールできない最強のパワーが、暴走を始める…。 近未来SFアクション。 ≪すべてが、終わる。≫
- 2019.07.01 (Mon) 01:47 | 象のロケット
- この記事へのトラックバック
-
- X-MEN ダーク・フェニックス
- 「X-MEN:ファイナル ディシジョン」以降、製作や脚本として「X-MEN」シリーズに関わってきたサイモン・キンバーグが、自ら初監督に挑み、シリーズの集大成として撮り上げたSFアクション・アドベンチャー。ある事故が原因で内なる闇の人格“ダーク・フェニックス”を覚醒してしまったジーン・グレイが、人類最大の敵としてX-MENの前に立ちはだかるさまを圧倒的スケールで描き出す。出演は本作で主役を務め...
- 2019.07.01 (Mon) 17:56 | 映画に夢中