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帰ってきた二次元に愛をこめて☆

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映画「フォードvsフェラーリ」感想

fvf

日本でF1華やかりし頃、ある技術者が「ドライバーには2種類ある。車を一緒に作りあげてくれるドライバーとそうでないドライバー」と言っていた。だとすればケン・マイルズは前者の中でも最高峰の人材だったのだろう。性格としては難があったとしても。車の状態、そして何が必要なのかを感じとる能力は、誰よりも優れていたのだろう。その稀有なるドライビングテクニックと共に。

クリスチャン・ベールのやさぐれたマイルズがいい。イギリス人でもいわゆるジェントルマンからは程遠い。猫背で皮肉屋、だが勝負への執念をくぼんだ目の奥にギラギラと宿らせている。この役者は役に入れ込むので有名だが、今回もケン・マイルズという男をその身を削って見事に形作って来た。

マット・デイモンは、レオナルド・ディカプリオとどう違うのかと聞かれたら困るような雰囲気だった。

ケンとモリーの夫婦のエピソードは蛇足にも思えるが、1960年代のアメリカへのノスタルジーを匂わせるために入れたのかも知れない。パステルカラーの家、芝生、キュートなファッション、瓶入りのコーラでの乾杯もそうだが。夫婦としての描き方は少し弱い、モリーが妻という感じに乏しい。父と息子はいい。これは子役が上手いのもある。

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レースを上から見るか、車が走るのと同じ路面に立って見るのか。あるいは車を横から眺めるのか、下に潜るのか。

フェラーリ側の描き方も、あえてステレオタイプのイタリア人的で、それがアメリカンなフォード側との対比になっていて良かった。エンツォ・フェラーリ、似てた。紫のインクのエピソードはなかったけれど「金で買えないものがある」とイタリア人の矜持と共にさっさとランチへ行ってしまうあたり、金で何でも出来ると思いあがった米国人にひと泡吹かせた格好の買収劇なども含めて、痛快ですらあった。

日産の衰退と他国で作為的に叩かれても頑張るトヨタを思い出す。
やはりトップが「車とは何か」を理解しているかいないかで大きく違う。

社長の悲願であり、会社の名誉となる優勝を策略で阻止してまで、自分のライバルを蹴落とそうとする副社長。そんな権力争いに巻き込まれるシェルビー・アメリカン。事実はどうであれ、障害があればあるほど、物語は盛り上がっていく。そして勝利の姿が見え始めた矢先に、テスト中にマイルズが事故死してしまう。

シェルビーとマイルズの息子ピーターの会話で終わる。変わりゆくものもあれば、受け継がれていくものもある。いつかは忘れ去られてしまうかもしれないが、少なくともしばらくは。あの心臓の薬を飲んだ後の、脈打つ鼓動のようなドン、ドンというエンジン音がいいね。生きている、まだ、そして今も。

エンドロールに実際のシェルビーとマイルズの写真が・・

映画として成立するための虚実入り混じっての物語ではあっても、彼ら二人の戦い、彼ら二人が勝利を目指した事実は確かにあったのだと、そこで心に刻まれる。これは定番だけれど良いやり方。

様々な車が登場する。車好きなら興奮ものだろう。そうでなくても、昔の車がなんて個性的で美しかったのか、それを見ているだけでも楽しい。どんな天候でも昼でも夜中でも、24時間走り続けるル・マンというレースの過酷な戦いの緊張を感じられるのもいい。

アイアコッカがその後クライスラーに行くとか、ル・マン優勝の時のドライバーのマクラーレンがあのF1のマクラーレンの創始者だったとか、車好きな人なら幾らでも蘊蓄を語ってくれそうな映画でもあります。

一番気に入ったのは、しまらなくなった車のドアを、ガコーン!と大きなハンマーで叩いて閉める場面。細かいチューニングがどーのといっていたのに、それか!みたいな。最後は大雑把な所がアメリカンというか。あの後、どうやってドライバーが出入りしたのか気になる。

Ford versus Ferrari: The battle for supremacy at Le Mans 1966

Ford v Ferrari

STAFF
監督 ジェームズ・マンゴールド
脚本 ジェズ・バターワース ジョン=ヘンリー・バターワース ジェイソン・ケラー
製作 ピーター・チャーニン ジェンノ・トッピング ジェームズ・マンゴールド
製作総指揮 ダニ・バーンフェルド ケヴィン・ハロラン マイケル・マン アダム・ソムナー
音楽 マルコ・ベルトラミ
撮影 フェドン・パパマイケル
編集 マイケル・マカスカー アンドリュー・バックランド
製作会社 20世紀フォックス チャーニン・エンターテインメント
配給 20世紀フォックス ウォルト・ディズニー・ジャパン

CAST
キャロル・シェルビー マット・デイモン
ケン・マイルズ クリスチャン・ベール
モリー・マイルズ カトリーナ・バルフ
リー・アイアコッカ ジョン・バーンサル
ヘンリー・フォード2世 トレイシー・レッツ
レオ・ビーブ ジョシュ・ルーカス
ピーター・マイルズ ノア・ジュープ
エンツォ・フェラーリレモ・ジローネ
フィル・レミントン レイ・マッキノン
ロイ・ラン JJ・フィールド
ジャンニ・アニェッリ ジャン・フランコ・トルディ
チャーリー・アガピョー ジャック・マクマレン
ブルース・マクラーレン ベンジャミン・リグビー
ドナルド・N・フレイ ジョー・ウィリアムソン
ダン・ガーニー アレックス・ガーニー
フランコ・ゴッツィ コッラード・インヴェルニッツィ


見当違いな指摘だらけの評論を読んだ。書いた人は、同じ仕事をしたなら口に出さずともわかる部分がある、という体験をして来なかった人かもしれないと思った。ネットが普及してから見かける人種。シェルビーとマイルズの関係は「まだだ」「今だ」で解るじゃないですか。この共通の認識が二人の絆なのですよ。同じ極限を知っているレーサー同士の。なのに二人の関係が書かれてないだの、映画のどこを見ているのかと思う。素人のブロガーならまだしも。日本の映画産業の衰退が言われて久しいけれど、これもそのひとつかなと。

最初に書いた話は、中嶋悟を指してだったと思う。そういえば彼の息子の中嶋一貴のいるトヨタのチームが、2018年と2019年はル・マンに優勝しているのだよね。


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Category - 映画・配信・DVD・BD

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