映画「2分の1の魔法[IMAXレーザー・吹替]」感想

一番得をするのは、ニートの長男。
厨二全開で「俺はまだ本気を出してない」と思い込んでいる能天気。シングルマザーの母親にも弟にも近所の人にも警察にも厄介者扱いされている。その兄に圧倒されて、自分に自信がなく友達もいない弟。イジメにあってるのに家族は無関心。
本当は魔法の才能のあるのは弟の方、でも結局は弟は父親に会えないという酷い話。
お父さんを独り占めした兄に、子供の頃に親切にしてもらったからと諦める弟。子供の頃はともかく、今は迷惑しかかけられていないのに。結局、調子のいい奴がいい思いをするという。そういう意味ではピクサーらしいシビアな映画でもある。
家族の結束の嘘臭さ。でもこういうプラスチックのような肌触りの映画が、今はウケるという事なのだろう。結果オーライ、テンポはいい。適度にピンチ、適度にお涙頂戴。まあ、及第点なのだろうが、それ以上にはならない。邦題も良くない。いや、最初から期待度も2分の1だろうと感じさせたから、逆に良かったか。そのままのタイトルでは服飾メーカーからクレームが来るだろうし。
魔法を頑張った弟。最後は復活した父と兄が楽しそうに語らい抱き合うのを、岩の隙間から眺めているだけ。兄は弟のいる方へ父親を連れて来ようともしない。穴越しにでも話す位は出来ただろうに。父親独占、弟の事なんか全然考えてもいない。いかにも長男気質。弟は最初からあきらめていたのだろう。自分の生まれる前に死んだ父には思い出もないし、思い入れもなかったとでもするなら、弟が救われそうだ。
母親と父親が顔を合せなかったのは、すでに母親には恋人がいて、兄弟の前で平気でぶちゅっとキスしてオエっと兄弟が不快な思いをしても気にしない状態なので、その方が面倒が起きずに都合が良かったのだろう。原題通り、少なくとも母親の人生はすでに過去を捨てて前進しているのだから。
エルフやケンタウロスやピクシーが混在する現代の描き方は面白かった。でも何だろう、何処か中途半端。薄汚い野良ユニコーンも、そこは笑う所だろうが、笑えない。
Onward
STAFF
監督 ダン・スキャンロン
脚本 ダン・スキャンロン ジェイソン・ヘッドリー キース・ブーニン
製作 コリ・レイ
音楽 マイケル・ダナ ジェフ・ダナ
主題歌 ブランディ・カーライル『君が支えてくれた』 スキマスイッチ『全力少年』
撮影 シャロン・カラハン アダム・ハビブ
編集 キャサリン・アップル
製作会社 ピクサー・アニメーション・スタジオ ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
配給 ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
CAST
イアン・ライトフット トム・ホランド 志尊淳
バーリー・ライトフット クリス・プラット 城田優
ローレル・ライトフット ジュリア・ルイス=ドレイファス 近藤春菜(ハリセンボン)
コーリー オクタヴィア・スペンサー 浦嶋りんこ
コルト・ブロンコ メル・ロドリゲス 村治学
ウィルデン・ライトフット カイル・ボーンハイマー 宗矢樹頼
スペクター リナ・ウェイス 斉藤貴美子
ゴア アリ・ウォン 大井麻利衣
デュードロップ グレイ・デリスル 林真里花
グレックリン トレイシー・ウルマン 新谷真弓
ガクストン ウィルマー・バルデラマ 丸山壮史
アヴェル ジョージ・プサラス 魚建
フェンウィック ジョン・ラッツェンバーガー 立木文彦
母親がもったりして下手だと思ったら、客寄せパンダ枠だった。こういう悪習がなくなれば、吹替の選択に躊躇がなくなるのに。テニミュ出身兄弟は良かった。弟は確かにトムホが合いそうなキャラ、そのうち英語の方も聞いてみたい。

fc2が不調の際はお手数ですがTB用ミラーブログをご利用下さい
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