シネマ歌舞伎「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」感想

「月光露針路日本 風雲児たち(つきあかりめざすふるさと ふううんじたち)」
原作はみなもと太郎の「風雲児たち」。オープニングはみなもと先生原画のアニメ。難破してロシアに流れ着いた伊勢の漁師達が絶望と苦難の末に日本に帰国するまでの実話を元にした物語。
歌舞伎とはいえ現代劇要素が多い。三谷幸喜だけに古畑任三郎のパロディも入っていました。猿之助さん凄い。片足を失いロシアに残される事が分かった時、不自由な身体で床をはいずり、去って行く幸四郎の大黒屋光太夫の足にすがりつき「日本に帰りたい」と慟哭する場面は、スーパー歌舞伎の名作「ヤマトタケル」の「大和へ帰りたい」とむせび泣く場面を思い出しました。
高麗屋三代の共演も見所。

写真はサンクトペテルブルグへ行った時に見学したエカテリーナ宮殿、エカテリーナ女帝に帰国の許しを請う大黒屋光太夫が謁見した間。
飛行機で行くのも大変と思うのに、当時極寒の地を船やそりに徒歩にとアリョーシャン諸島の小さな島からヤクーツク、イルクーツク、サンクトペテルブルグへと旅した彼らの苦闘が偲ばれます。17人いた仲間は帰国の際にはたった2人になっていました。
上演月:2019(令和1)年6月
上演劇場:歌舞伎座
シネマ歌舞伎公開日:2020年10月2日
上映時間:138分
大黒屋光太夫:松本 幸四郎
庄蔵/エカテリーナ:市川 猿之助
新蔵:片岡 愛之助
キリル・ラックスマン/アダム・ラックスマン:八嶋 智人
マリアンナ:坂東 新悟
藤助:大谷 廣太郎
与惣松:中村 種之助
磯吉:市川 染五郎
勘太郎:市川 弘太郎
藤蔵:中村 鶴松
幾八:片岡 松之助
アレクサンドル・ベズボロトコ:市川 寿猿
清七/ヴィクトーリャ:澤村 宗之助
次郎兵衛:松本 錦吾
小市:市川 男女蔵
アグリッピーナ:市川 高麗蔵
ソフィア・イワーノヴナ:坂東 竹三郎
九右衛門:坂東 彌十郎
三五郎/ポチョムキン:松本 白鸚
語り:尾上 松也

映画の前にスープストックトーキョーでランチ。北海道産とうもろこしと鶏肉のシチュー、オマール海老のビスク、フォカッチャ。思えば各国にルーツを持つメニューたち。
大黒屋光太夫達が異国の食べ物に戸惑う場面もありました。はじめは拒否しつつ、それでも生き延びるために、決死の思いで食らいつく彼らの姿も見所のひとつ。

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