劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 感想

涙の先にも戦いがある、ジャンプアニメらしい映画
蝶屋敷での修行を終えた炭治郎たちは、次なる任務の地、≪無限列車≫に到着する。そこでは短期間のうちに40人以上もの人が行方不明になっているという。禰豆子をつれた炭治郎と善逸、伊之助の一行は、鬼殺隊最強の剣士である≪柱≫のひとり、炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、闇を往く≪無限列車≫の中で、鬼と立ち向かうのだった。
ジャンプアニメは沢山見て来たし、好きな作品も沢山ある。
最初に思ったのは、この劇場版、とてもジャンプらしいなという事。少年は戦いの中で成長してゆく、先人の背中を見ながら。敵はさらに強くなり、少年と仲間はそれを越えようと頑張る。そして誰かが死んで盛り上げる。基本的な構成。
無限列車の表現が素晴らしい。
やや鉄分が多く血に流れている私としては、8620形がモデルといわれる無限列車が疾走するシーンに心躍った。現在JR九州で、58654号機「SL人吉」を「無限」とプレートを変えて走らせていると聞いた。重厚な蒸気機関車が事件の重さを感じさせるのに、実に適材なのだ。
閉鎖空間では物語が作りやすいという事はあるけれど、列車という空間は移動する。そのスピード感を殺さず、精神の世界も描きつつの進行も面白かった。そして閉鎖空間の中で更に閉じ込められて、その上で列車そのものが・・という何重もの入れ子状態の流れもいい。
煉獄さんは、ギャグには引いたが、最期は盛り上がった。(ギャグは残念ながら全体的に乗れなかった。そこは漫画をアニメにする時の弱点になりやすい部分で、それをぶっちぎって飛び越えて行った例外が銀魂だと思う)
TVアニメ化された部分の続編であり、原作自体はこの先の物語があるので、映画単体ではわかりにくい箇所はあるにしても、煉獄さんの人柄の大きさやリーダーとしての有能さは伝わったと思う。惜しむらくは主人公たちが乱入する事で、煉獄さんが命をかけて倒そうとした敵を逆に逃がしてしまう結果となった事で、これもお約束といえば、そうとはいえ。
(「きょうじゅろう」のアクセントがキャラによって異なるのも気になった)

しかし猗窩座の石田彰さん、またもこういう役なのかと。最近でも同じようなアシエン・エリディブスを見たばかりなので、そのまたか感が強まったのもあるけれど。でも誰よりもこの手の役にはまっているのも確かで、狂気と純粋と裏と表とすべてが入り混じった声を聴かせてくれるのは、石田彰さん以外に思いつかないし。
そういう意味では、耳に心地良いお館様の声が森川智之さんなのも、この人ならではの安定感。
主人公とその仲間には人気の若手を配するのも正しい判断。今後も登場する鬼殺隊の面々をちらりと見せてくれるのもファンサービスとして正しいやり方。
誰もがあえて口にはしないのだろうけれど、この作品がここまでの業績となったのは、新型コロナの影響で公開延期の作品が相次ぎ、映画館がその穴埋めに上映したのも大きいだろう事。それは上映スケジュールを見れば一目瞭然、本来ならこんなに邦画やアニメが並ぶはずもないタイムテーブルが延々と続いているのだ。それこそ無限列車が映画界を蹂躙したかの如くに。
それがあったとしても、人気アニメの劇場版として上質の作品である事には変わりない。
STAFF
原作 吾峠呼世晴
監督 外崎春雄
脚本 ufotable
キャラクターデザイン 松島晃
音楽 梶浦由記、椎名豪
制作 ufotable
製作 アニプレックス 集英社 ufotable
配給 東宝 アニプレックス
CAST
竈門炭治郎(かまど たんじろう)花江夏樹
竈門禰?豆子 (かまど ねずこ)鬼頭明里
我妻善逸(あがつま ぜんいつ)下野紘
嘴平伊之助(はしびら いのすけ)松岡禎丞
煉獄杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)日野聡
煉獄槇寿郎(れんごく しんじゅろう)小山力也
産屋敷耀哉(うぶやしき かがや)森川智之
鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)関俊彦
猗窩座(あかざ)石田彰
魘夢(えんむ)平川大輔
関係ないけれど、見ていたら崎陽軒のシウマイ弁当が食べたくなった。

入場者特典「ufotable描き下ろしA5イラストカード 弐」

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