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「うつ病九段」感想

☆もるがん☆

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「こんな単純な手が読めないなんて」

うつ病の家族が歩んだ闘病記。安田顕さんの演技が熱い。

2017年、先崎学九段(安田顕)は対局中に突然、思考停止に陥った。将棋界を揺るがす不祥事に将棋連盟の広報として対応していた先崎は、多忙な日々を送っていた。精神科医の兄・章(高橋克実)はうつ病と断定。担当医は長期休養と将棋禁止を命じた。極度の集中力を強いる将棋は、治療の妨げでしかなかった。囲碁のプロ棋士である妻・繭(内田有紀)は、同じ勝負師として必死に支える。復帰を賭けた、壮絶な闘病生活が始まる。

うつ病になると、世界がモノクロになる。

将棋ソフトの不正使用問題で広報として対応に追われた後、落ちた将棋界の信頼を取り戻そうと多忙に走り回る中で壊れてしまう先崎。ドラマはうつ病と闘う家族の物語なので、将棋の世界を特に知らなくても大丈夫。知っているとさらに楽しめるけれど。

一身上の都合により休場の届を書く先崎、受け取る大介。(一身上の都合で他の棋士の事を思い出した方もいるかも。どうかそちらは大事ではないと願いたい)

生涯をかけた将棋を諦めざるを得ないとは、どんな気持ちなのだろう。それすら考えられない、考えてはいけないのがうつ病。何も判断してはいけないと医師はいう。支えあう妻と娘。そうだよね、本人も辛いけれど、家族も辛いのだよね。娘にも悪い影響が出て来る。妻はもっとしっかりしなくてはと。そこで無理をし過ぎると、共倒れになってしまいそう。見ていて辛いね。

同室の寺島進さんが良い味出してます。

何も考えられない状態から、表情も戻って来る。散歩出来るまでに回復はするものの、せっかく見舞いに来てくれた弟弟子たちの声が辛く感じる。だが皆で外苑の花火を観ている時、復活の兆しが。突然、世界が色を取り戻す。花火の赤、妻の服のピンク。

自殺の心配がなくなり退院。

規則正しい生活を指示されているが、起きたくても起きられない。妻は研究会用に借りた部屋で囲碁将棋サロンを始める。夫がまた将棋をさせるようになった時の為に。開店の日、盤上を見てもまったく手が読めないのに愕然とする先崎。サロンから黙って消えた夫をなじる妻。先崎は将棋が出来ない辛さを妻にぶつけてしまう。

それでも妻の繭は、先崎が再び将棋を指せるようになる事を願っていた。

子供でも解ける七手詰すら解らず、苦悩する先崎。それでも少しずつ前へと進む。体力を取り戻す為に歩く。対局に応じてくれた弟弟子に勝利、また指せなくなる恐怖と向き合いながら、うつを将棋で治すために指し続ける。いじめも偏見も将棋で乗り越えて来た、それと同じように。

師匠の形見の駒を夫人から渡される先崎。

サロンで、師匠の駒で太地王座と指す先崎。もう投了かと思った時、心の中で声がする。今まで見えなかった手が見えるのに気づく。「美しい手」を指す事が出来た先崎。兄弟弟子が笑顔を交わす。そして、先崎の棋士復帰でドラマは終わる。

周囲の人々、お兄さんも棋士の皆さんも良い人ばかりで良かった。勿論これはドラマであり、現実はこんなに美しい事ばかりではなかっただろうけれど。一人の人間が人生を失い、再び人生を取り戻す、その過程を描いたドラマとして、家族のドラマとして、良いものに仕上がっていたと思う。

太地先生の王座戦、藤井くんの29連勝とか羽生先生とか。将棋好きなら、師匠の米長先生の写真や、盤上や登場する棋士と本人を比べたり、楽しみは幾つも見つかるかも。


STAFF
【原作】先崎学「うつ病九段」
【作】小松與志子
【音楽】和田貴史
【制作統括】磯智明
【プロデューサー】大杉太郎 宇佐川隆史
【演出】吉田浩樹

将棋指導 藤森哲也 渡辺和史 小島孝令
囲碁指導 桑原陽子

CAST
先崎学 安田顕
先崎繭 内田有紀
先崎春香 南沙良
先崎章 高橋克実
米長明子 高畑淳子
羽生善治 土屋伸之(ナイツ)
藤井聡太 鈴木福
中村太地 渡部豪太
鈴木大介 宇梶剛士
佐藤康光 前川泰之
田中悠一 永嶋柊吾
佐々木 寺島進
めぐみ 福地桃子
山崎 野口かおる
宇賀なつみ 本人役


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Posted by☆もるがん☆

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