映画「ワンダーウーマン 1984」感想

愛を貫くか、世界を救うか・・究極の選択を迫られたダイアナ!
スミソニアン博物館で働く考古学者・ダイアナのもう一つの顔―それはヒーロー界最強とも呼ばれる桁外れのスーパーパワーを秘めた戦士<ワンダーウーマン>。1984年、人々の欲望を叶えると声高に謳う実業家マックスの巨大な陰謀と、立ちはだかる正体不明の敵チーターを前に、ワンダーウーマンに絶対絶命の危機が訪れる。ワンダーウーマンはたった一人で世界の崩壊を止められるのか?
とにかく、ガル・ガドットが美しい。
黄金の鎧へのチェンジは正解でした。あの赤と青の衣装は、どうしても時代に合わないように見えていたのですよね。特に冒頭のショッピングモールの場面。あんな場所であの恰好で暴れたら、いくら何でも目立ちすぎでしょう。マーベルでもDCでもヒーローの衣装や装備は、その時々で時代を反映して進化して来ましたから。
邪神に作られた願いが叶う石(ドリームストーン)に関しては、そこはコミック、細かい所は良いではありませんか。それを言い出したら、マーベルの方の何とかストーンもどうなのかという話になってしまうし。ここは現実よりもお話の世界を楽しむべきかと。願いには代償が伴うのは、錬金術に対価が必要なように、無から有は生まれないという事なのでしょうか。
石に願ったのは恋人との再会。そこは強くても孤独だったダイアナの切なさ、そして願いは叶い、一人の男性に憑依する形でスティーブ・トレバーが復活。二人は喜び合うのですが・・その代償として超人的なパワーの一部を失ってしまうダイアナ。トレバーの時間は死んだ時に止まっています。戸惑うトレバーに”今の世界”について教えるダイアナ。これは一作目と立場が逆になっています。
ダイアナが少しお馬鹿さんになってしまったのも、恋しい人が突然目の前に現れた反動なのだと、好意的に解釈しておきます。

少し昔のアメリカを楽しめるのも、この映画の良い所。派手なウェアで頑張るエアロビクスも1980年代の象徴ですね。ダイアナのようになりたいとドリームストーンに願ったバーバラが、自分のパワーを確かめるジムの様子なども、当時の健康ブームが反映されていましたね。

バーバラのクリステン・ウィグも素晴らしい。
最初は冴えない女性だったのが、どんどんと自信に満ち溢れていき、ドリームストーンの代償だったとはいえ、その自信が理性さえ人である事さえ押しつぶして、獣人の如き姿となってしまうまでの変化を、見事に演じていました。
マックス・ロード(マンダロリアンの人!)を見て思い出したのは、「インデペンデンス・デイ」の大統領のビル・プルマン。演じているのはペドロ・パスカルですが、このタイプの役者さんはホワイトハウス絡みでは不可欠なのでしょう。自分自身をドリームストーンにするという願い、これは良いですね。3つの願いをかなえてくれる神様に、最後の願いの時に「あと3つ願い事が出来るようにして下さい」と願い、延々と願い続けるという話を思い出しましたよ。
願いをかなえるたびに健康を損なっていくのですが、代償として相手の健康を奪う事で帳尻を合わせていく。そして頭が良く回るようで根本的な所が駄目なので、世界を混乱と破滅へと導くだけで「支配」からも「君臨」からも遠ざかっていくのですよね。何もない砂漠の真ん中で「俺は王だ、一番偉いんだ」と叫んでも空しいのと同じ状態に突き進んでいるのに、まったく気が付かない。もし息子のアリスタへの執着がなかったら、世界は滅んでいたでしょう。
愛を捨てて、世界を救う事を選んだダイアナ。
パワーを取り戻したダイアナとチーターの戦闘に関しては、クリス・パインからの連想で「スター・トレック BEYOND」の異星人ジェイラを思い出してしまったのですが、獣に近くなっていくほど闘い方も獣になって、頭を使った攻撃がなくなり、単に飛び掛かるだけになってしまったのは残念です。今はなきシルク・ド・ソレイユのように縄に捕まってブンブン回るだけには、途中で飽きてしまって。
結局はダイアナに負けてしまうのですが、マックスが願いを取り消したので、彼女に分け与えられていたパワーは消えてしまったようですが、彼女自身が願いを撤回したのかは、最後の姿からは微妙でした。少なくとも「ダイアナと同じになりたい」という願いは撤回されないままであるなら、まだまだ強いまま。だとしたら再登場はあるでしょうか。
何でも出来るダイアナなのに、男性ファッションのセンスは壊滅的。ラストでトレバーが消えて自分を取り戻した男性が、ダイアナのコーディネートの服装で登場するのですが、やはり友達には受けなかったそうで。まあ、完璧すぎるより、欠点もあった方が人間味があって良いですよね。
トレバーの助言で、風に乗って飛ぶ事を覚えたダイアナ。飛ぶポーズがスーパーマンなのは、同じDC仲間だからでしょうか。
エンドロールの途中で登場するアステリアは、リンダ・カーター!
元祖ワンダーウーマンです。御歳69歳には見えない美しさ。鎧だけ残して行方不明だったアステリアは、アマゾン族を逃がす盾となって一人奮戦した後にも生き延び、人知れず世界を救っていたという事でしょうか。
冒頭のアマゾン族運動会の場面は、いらないという声もあるようですが、黄金の鎧とアステリアの伏線としての意味合いでは必要でしたね。もう少しコンパクトでも良かったけれど。
DCのシリーズも続いて欲しいのですが、リアルの役者さんは歳を取っていくので、美しきワンダーウーマンが何処まで続くのか不安ではあります。映像の精度が上がる中で、役者さんが同じ役を続けていくのはますます困難になる気がするのです。永遠はない世界の中で永遠を願う、その代償は何なのでしょうね。
Wonder Woman 1984
STAFF
監督 パティ・ジェンキンス
脚本 パティ・ジェンキンス ジェフ・ジョーンズ デヴィッド・キャラハム
原案 パティ・ジェンキンス ジェフ・ジョーンズ
原作 DCコミックス
製作 チャールズ・ローヴェン デボラ・スナイダー ザック・スナイダー ガル・ガドット他
製作総指揮 レベッカ・スティール・ローヴェン リチャード・サックル マリアンヌ・ジェンキンス他
音楽 ハンス・ジマー
撮影 マシュー・ジェンセン
編集 リチャード・ピアソン
製作会社 DCフィルムズ文字色 アトラス・エンターテインメント The Stone Quarry
配給 ワーナー・ブラザース ワーナー・ブラザース・ジャパン
CAST
ダイアナ・プリンス / ワンダーウーマン ガル・ガドット 甲斐田裕子
スティーブ・トレバー クリス・パイン 小野大輔
バーバラ・ミネルバ / チーター クリステン・ウィグ 落合るみ
マックスウェル・“マックス”・ロード ペドロ・パスカル 堀内賢雄
アリスタ ルシアン・ペレス 田中誠人
アンティオペ将軍 ロビン・ライト 深見梨加
ヒッポリタ女王 コニー・ニールセン 榊原良子
首長 アムール・ワケド 広瀬彰勇
ハンサム男 クリストファー・ポラーハ 藤井啓輔
キャロル ナターシャ・ロスウェル 岡田恵
ババジーデ ラヴィ・パテル 駒谷昌男
サイモン・スタッグ オリヴァー・コットン 浦山迅
ラクエル ガブリエラ・ワイルド 櫻庭有紗
ジェイク ケルヴィン・ユー 中村和正
エマーソン ジョナサン・アジャイ 菊池通武
カール エド・バーチ 佐々木拓真
アステリア リンダ・カーター 一城みゆ希

fc2が不調の際はお手数ですがTB用ミラーブログをご利用下さい
Comments 0
There are no comments yet.