NHKドラマ「岸辺露伴は動かない」1-3感想

「だが断る」
高橋一生の露伴先生、素晴らしいッ!
(1)「富豪村」
周囲から隔絶された山奥に豪邸が立ち並ぶ「富豪村」。所有者はいずれも各界で成功した大富豪ばかりで、20代でこの村の土地を所有して成功しているという。ただし、ある条件をクリアしないと買うことが許されないらしい。真偽を確かめるべく露伴(高橋一生)は、編集者の泉京香(飯豊まりえ)と共に富豪村に赴く。そこで課されたのは奇妙な試験だった。それは「マナー」。マナーに寛容はない。「正しい」か「正しくない」か…
露伴先生と能力の紹介から。ジョジョっぽさとは何か、ジョジョのリアリティとは何かを徹底的に考えたのでしょう。ポーズひとつとっても再現度が高い。京香のウザさも、露伴先生の人柄を際立たせるには必要なものなのかと。
マナーに対する問題の解決法は、JOJOで良く見る論理。こういう事を考え付くのが才能。禁足地や山の神絡み、露伴先生の博識と人となりの大きさを感じさせる、良い第一話。
(2)「くしゃがら」
露伴(高橋一生)は同僚の漫画家・志士十五(森山未來)から奇妙な相談を受ける。担当の編集者から「くしゃがら」という言葉は使用禁止だと言われたのだ。しかしネットにもどんな辞書にも意味は載っていない。使うなと言われると使いたい。だが意味を知らないと使えない。何かにとりつかれたようになった十五を露伴がヘブンズ・ドアーで「本」にすると、そこにはうごめく何かが存在していた。
露伴と志士十五のカフェの長い会話が面白い。役者の見せ所でもあります。森山未來さん、いいな。憑りつかれた感が凄かったし、志士十五という漫画家の作り方も凄かった。漫画家が凡人であってはならないという事はないけれど、何かに入れ込む情熱をもっているからこそ憑りつかれるわけで。
露伴先生でも恐怖を感じる、黒い袋とじ。露伴先生の能力が効かない。”禁止”されてるから書き込めない。その解決法が・・露伴先生、頭いい!このあたりが話を面白くする部分。本屋の親父の諏訪太朗さんもいい。
(3)「D.N.A」
担当編集の京香(飯豊まりえ)から付き合っている写真家の平井太郎(中村倫也)の記憶喪失を“催眠術”で探って欲しいと頼まれた露伴(高橋一生)。写真家だった太郎は6年前に交通事故にあい、一命は取り留めたが、社会復帰できずにいた。京香に太郎を紹介され話しているところに娘を抱えた片平真依(瀧内公美)が通りかかる。すれ違い様、娘の手が太郎の袖をつかみ転倒させてしまう。露伴はその瞬間、娘に異変を感じていた。
太郎の砂糖の入れ方で彼の異常を感じさせる。京香と太郎がつきあい始めたのは、事故の後だった。どうやら空気が読めない京香が強引に彼女になったと思い込んでいただけのようで、結末は見えていましたね。
不思議な少女、良く作り上げたなと。コスプレも過ぎると滑稽なだけなのですが、可愛さと不気味さが程好いバランス。それもどんどん子供らしさが出て来ると可愛い方に傾いて来るのが良かった。高橋一生さんを「セクシー」と呼んでいた子役さん、元々は人懐っこい子なのだろうな。
遺伝子の事は、その程度の不思議は残しておいた方が、余韻があって良いのではないでしょうか。
露伴先生の登場する「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」は原作の漫画では第4部、アニメだと3rd seasonになるジョジョのシリーズでも好きな話です。その中でも露伴先生の個性は飛びぬけていて、単独でも活躍する作品が出来たわけで。
実写化というと原作改悪の酷いものが定番の邦画やTVドラマ。今回も心配したのですが・・平井太郎のオリジナルの設定は3つの物語を綺麗にまとめる役わりを果たしていたし、役者も演出も、衣装から小道具までJOJO愛あふれるドラマでした。字幕までJOJOしているのも微笑ましい。
漫画が好きでない漫画の編集者とか、仕事は仕事とはいえ担当される方は「だが断る」と言いたいのではッ!確かにマニアは趣味で仕事をするので駄目だという話はありますが。まあ、それもリアリティですかね。
音楽が菊地成孔さんなのも嬉しい。不可思議な音色やミステリアスな旋律がドラマを盛り上げてくれます。演奏もアンニュイな歌声も好き。文章も面白い。「吸血鬼ハンターD」「魔界都市」シリーズの菊地秀行先生の弟さんでもあります。
STAFF
原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴は動かない」
原作:荒木飛呂彦 小説:北國ばらっど「岸辺露伴は叫ばない 短編小説集」所収「くしゃがら」
脚本:小林靖子
音楽:菊地成孔
演出:渡辺一貴
撮影:山本周平 照明:鳥内宏二 録音:高木創 美術:磯貝さやか 編集:鈴木翔
人物デザイン監修:柘植伊佐夫
制作統括:鈴木貴靖、土橋圭介、平賀大介
制 作:NHKエンタープライズ 制作・著作:NHK、ピクス
CAST
岸辺露伴 高橋一生
泉京香 飯豊まりえ
一究 柴崎楓雅 富豪村の案内役
志士十五 森山未來 露伴と同じ漫画家
片平真依 瀧内公美 インテリアコーディネーター
平井太郎 中村倫也 京香が付き合っている写真家
声 櫻井孝宏
「ヘブンズ・ドアー」の言い方は、櫻井孝宏さんに慣れているので、少し違和感を感じてしまったけれど。その櫻井孝宏さんの声が、たまに聞こえるのが何とも嬉しい。

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