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シネマ歌舞伎「桜姫東文章 上の巻」感想

☆もるがん☆

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仁左衛門、玉三郎 36年ぶりの奇跡の舞台

僧清玄は、稚児の白菊丸と道ならぬ恋の果て心中を図るが、一人生き残ってしまう。17年後、高僧となった清玄は桜姫と出会う。彼女は白菊丸の生まれ変わりなのか。一方、家宝の巻物「都鳥」を盗まれ御家没落のため出家を心に決めた桜姫には秘密があった。かつて暗闇の中で自分を犯した男の子どもを秘かに産み落とし、今でも一夜の甘美な思い出として、その肌が忘れられずにいた。ある日、腕に鐘の刺青のある男、権助とめぐり逢う。権助こそ、桜姫の思う相手。再び権助に身を委ねる桜姫。しかしその密会が明るみになり・・・

「これも誰ゆえ桜姫」

桜は八重に変われども、そこに咲くのは桜姫。

美しい衣裳の色彩の洪水と思えば、光と闇のコントラストの中に浮かび上がる情念の世界。仁左衛門の清玄が落ちた川から這い上がる時、白の衣裳に桜姫の鮮やかな赤い振袖の片袖を咥えているのが、モノクロの世界に不吉な血の色のようで、この物語の行く末の悲劇を暗示させる。

日本語ならではの調子良きセリフ、緩くあるいは緊迫する唄や楽器の音色。

仁左衛門の二役が素晴らしい。高潔な高僧とやさぐれた男。まったく異なる人物を演じ分ける。玉三郎の桜姫も、やんごとなき姫君と愛欲に溺れた女に一瞬で変わる。役者の凄みを感じさせる。

扮装を変える合間に挟まれる芝居も、時間稼ぎだけではなく、物語の進行に重要な世界観を構築する仕掛けとなっている。因果応報の中で、多くの人々の思惑が絡みあう。

桜姫は我が子に逢いたいと言い、清玄は桜姫との再会を願う。そのすれちがいは闇の中、互いにそれと気づかずに。こういう所がいい。上の巻はそこで終わる。すれ違った運命は、それぞれに何処へと向かうのか。

下の巻が楽しみ。

冒頭に仁左衛門と玉三郎のインタビューが入るのもお得感。

配役

清玄/釣鐘権助 片岡 仁左衛門
入間悪五郎 中村 鴈治郎
粟津七郎 中村 錦之助
奴軍助 中村 福之助
吉田松若 片岡 千之助
松井源吾 片岡 松之助
局長浦 上村 吉弥
役僧残月 中村 歌六
白菊丸/桜姫 坂東 玉三郎

上演:2021(令和3)年4月 歌舞伎座
シネマ歌舞伎 公開日:2022年4月8日 上映時間:124分


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