ドラマ「ムーンナイト」第6話 最終回 感想

幾つもの世界が重なり、入り乱れて。最後に笑うのは・・・・
アーサーに胸を撃たれたマークの遺体、引き上げるアーサーの部下達。部下がマークの隠していたアメミットの像を見つける。像を手にして感慨深げなアーサー。マークの胸にスカラベを置く。
レイラは物陰で見ている。アメミットの像を掲げるアーサー、ひざまずく部下達。アーサーの杖に変化が生じる。杖の先にパックリと開いた口が出来、それが閉じる。新しい力を得たらしい。アーサーは部下と出ていく。レイラが横たわるマークに近づく。彼の死を嘆く。胸の上のスカラベを取る。スカラベが羽を広げる。その示す方向にアメミットはいる。これはアメミットの墓の在りかというより、アメミットの存在に反応するのか?アメミットの力を得たアーサーがその方向にいるという事か?
検問で止められたアーサーは杖を振りかざす。罪を犯した者、未来に罪を犯す者が倒れる。アーサーの部下達は遺体を片付ける。その中にレイラがいた。アーサーを殺そうとナイフを抜く。だが転がっていた遺体を通してタウエレトがマークのメッセージを伝える。コンスが必要だと、彼の封印された像を壊してくれと。耳を傾けないレイラ、次々に遺体に乗り移り、説得しようとするタウエレト、自分の化身(アバター)にならないかと誘うが、レイラはひとりでやると断る。
タウエレト、どうしてこんなにマーク達に好意的なのでしょう。アーサーのせいで寿命前の魂が冥府に沢山やって来て迷惑しているとか?アメミットの事を快く思っていなかったとか?
ピラミッドにやって来たアーサー・ハロウ。彼の前に扉が開かれる。中では神々のアバター達がアメミットが解放されかけているのを感じ、集まっている。アーサーは部下を率いてピラミッドの中を進む。神々が人類に隠して来たものを見せようと。
アーサーの企みを阻止しようとした神々のアバター達をあっさりと倒すアーサー。アーサーが像を破壊するとワニの頭の女神、アメミットが現れる。何故か大蛇丸を思い出す。ひざまずくアーサー達。アメミットはアーサーの天秤が釣り合っていないという。罪を償う事で天秤の釣り合いを取ろうとしたが駄目だったとアーサーはいう、どんな裁きも受け入れると。
アメミットは完璧に天秤が釣り合ったものをしもべとしたせいで2000年も封印された、お前の死を延期するので、自分に仕えよという。アーサーには願ったりかなったり。アメミットのアバターとなるアーサー。
レイラはコンスの石像を見つけ破壊。コンスが復活。コンスはマークの死にすぐ気づく。コンスはレイラに代りのアバターになるように言うが、レイラは断固としてはねのける。神様、圧しが弱い。
アメミットはまずカイロの人々の魂を浄化すると宣言。その次は世界だと。そのアメミットの前にコンスが立ちはだかる。何というか、ショッカーのアジトで大幹部が鉢合わせしたみたいに見える。ややコミカルで。アーサーはコンスを解放した侵入者を探すように指示。
アアルの野にいるマーク。彼の天秤は釣り合い、安らぎを手に入れた、それを受け入れるようにとタウエレトは言う。カバ頭さん、お耳と鼻ひくひくが可愛い。神様たちは総じて怖さよりも可愛さを出した造形な気がする。自分だけが安らぎを得て、スティーヴンは永遠に砂漠の中、それには耐えられないと駆けだしていってしまうマーク。二度とアアルの野には戻れなくなるとタウエレトに止められても。
砂漠で固まったスティーヴンを見つけるマーク。スティーヴンの手に心臓を載せ、自分の手を重ねる。マークは語り掛ける、スティーヴンが現れて自分は救われたと。2人だったから生きて来られたと。マークの身体も砂漠に囚われていく。マークは言う、お前こそが俺のスーパーパワーの源だったと。2人の手の間の心臓が輝く。2人の前のオシリスの扉が開き、黄金の光が流れ込む。復活した2人は抱き合って喜ぶ。
アメミットとコンスの戦い、圧倒的にアメミットが強い。
迫る砂の波、門へと急ぐ2人。タウエレトの船が砂の波をせき止め、時間稼ぎをしてくれる。2人は感謝して先へと急ぐ。
コンス、ボロボロ。命乞いをすれば助けるとアメミットに言われる位に劣勢。その時、コンスはマークの魂を感じる。マークの遺体が蘇る。あのスーツをまとう。コンスはアメミットは手に追えないと、マークにアメミットの始末を命じる。するとあのタキシード型のスーツに変わり、スティーヴンとなる。「見返りは?」とスティーヴンはいう。今、救ってやったと。見返りは2人を解放する事だとコンスは言うが・・信じていいのかな?
レイラはオシリスのアバターから、アメミットを倒す方法を聞き出す。アメミットを人間の中に封印し倒せと。生身の人間なら倒せるから。でもそれにはアバターの数がいるという。だがそう言った途端にオシリスのアバターは息を引き取ってしまう。レイラはタウエレトに語り掛ける。一時的にアバターになると。楽しそうなタウエレト、素敵なコスチュームも考えたらしい。だがタウエレトの声でアーサーに存在を気づかれてしまう。
ムーンナイトが宙を飛ぶ、アメミットとアーサーの元へと。ピラミッドの上で杖を振りかざすアーサー。裁かれた魂を喰らうアメミット。レイラの戦士としての姿、なかなか凛々しい。スカラベのような羽を広げる。
ムーンナイトがやって来る。満月を背景にアーサーとの空中戦、アーサーの姿はそのまま。かたやコンスとアメミットの戦い。カイロの街に落下するアーサーとムーンナイト。コンスの劣勢の姿とムーンナイトの姿が重なる。勝ち誇るアメミットとアーサー。アーサーがムーンナイトに止めを誘うとした時、アーサーの攻撃を吹き飛ばしたのは、レイラ。ここ少しエターナルズっぽい。
戦闘服姿のレイラに駆け寄るマーク。素顔を見せている。途中でスティーヴンに変わっている?どうやら2人は自在に入れ替わる仕様に?立ち上がったアーサー。銃をかまえる部下と共にやって来る。
「負けると知りながら何故戦う?」
問いかけるアメミットにコンスは答える。
「それが私の選んだ道だ。選択肢を奪うお前とは相容れぬ」
タキシード型スーツでも華麗な戦いを見せる。マークに出来る事をスティーヴンも出来るようになった証拠。従来のスーツと切り替わりつつ戦う。中の2人のコンビネーションで戦うのが面白い。ここはドラマの中でも一番にバトルシーンが多いかも知れない。最終回に来てやっとヒーロードラマらしくなった。レイラも勇ましい。
コンスが劣勢になるとムーンナイト達も追い詰められる。神とアバターがシンクロしている。ここも楽しい。助けた女性に「エジプト人のスーパーヒーロー?」と聞かれるレイラ。腕の武装は攻撃にも防御にも使える。ちょっとワンダーウーマンの伝説の鎧を思い出す。
アーサーは弟のランドールの死がマークのせいである事、お前がいなければ弟は死ななかったと責める。つまり死ぬべきはお前だと。あおむけに倒れているマーク、アメミットに身体を貫かれるコンスの姿を背景に、アーサーが近づいて来る。
・・・マークが白目を剥いた次の瞬間、アーサーは倒れ、マークがアーサーの杖を持っている。周囲の敵も倒れている。「お前じゃないな、スティーヴン」「僕じゃない」レイラはすべてを目撃していた。マークでもスティーヴンでもない最強の誰かの戦いを。
だが今はその詮索よりもアメミットを止めねばならない。アメミットをアーサーの中に封印して息の根を止める。マーク達はアーサーをピラミッドに運ぶ。呪文を唱える。おそらくタウエレトが教えてくれているのだろう。「止めをさせ」とコンスに命じられたが、レイラに選ぶ自由を指摘され。マークは逆らう。「殺したいなら自分でやれ」と。「俺たちを解放しろ」と。コンスは承諾する。
再び精神病棟。マークの前にはハロウ先生。いや、スティーヴンか。途中でマークに代わる。この世界が想像の産物なのか、ムーンナイトとして戦う世界が想像の世界なのか。「治療を続けないと」と歩き出すハロウ先生の足跡は血に染まっている。白い世界に赤い色が生々しい。「あれ見たか」「見たよ」マークとスティーヴンは会話する。うろたえるハロウ先生。マークとスティーヴンは先生に別れを告げる。
目覚めたのはスティーヴンのベッド。2人は共存出来る事を知る。
歩き出して、拘束具に足を取られ、床に叩きつけられる。マーク=スティーヴン。これからは拘束具もいらなくなるだろうか。コンスはアメミットを始末出来たのか、レイラはどうなったのか。色々と疑問は残るままEDへ。他の神々はまたアバターを見つけるのだろうか。暗躍していそうなオシリスが特に絡んで来なかったのはやや拍子抜け。
EDの後に、腕の天秤の刺青が映る。アーサーは生きていた。マークとスティーヴンが逃げ回った病院なのか?誰かがアーサーの車椅子を押していく。廊下には職員が倒れている。あれ?車椅子を押しているのはマーク?アーサーは白いリムジンに押し込まれる。向い側に洒落たスーツを着こんだコンスがいる。コンスはアーサーに手を出せないらしい。
コンスは他のアバターは必要ないという。マークは本人が思った以上に病んでいると。運転席の人物が振り返る。コンスはジェイク・ロックリーだと紹介する。これが第三の人格。マークとスティーヴンは解放されても、この人格はコンスのアバターのままという事か。ジェイクは容赦しない。アーサーに銃弾を打ち込む。アーサーの撃たれた場面は映されない。白いリムジンが走り出す。ナンバープレートはスペクター。すべてはマークの中での出来事という事の暗示なのだろうか。
この全6話はムーンナイト誕生編という感じでしょうか。コンスのアバターとしてムーンナイトとなった過程、解離性同一障害のマーク・スペクターという人物、スティーヴンという人格がいかにして生まれたか、コンスの真のアバターというべき残虐なジェイクの存在。
コンスの宿敵アメミットとの確執、そのアバターであるマークとアーサーの戦い、因縁あるレイラもまたタウエレトのアバターとしてその渦中へと。なかなか面白い展開でした。エジプト神話が好きでヒエログリフも少しかじった私にはとても興味深いドラマでした。オスカー・アイザックには最後まで乗れなかったものの、関智一さんの演じ分けで楽しく観られた気がします。
こういう内面や精神世界やキューブリック的なものより、勧善懲悪のヒーロー物を期待した人は裏切られた思いがするかもしれないけれど。原作を知らない分、先入観なく楽しめたというのはありかな。最初は地味なヒーローかと思ったけれど、ヒーローそのものよりもヒーローとなる人間の物語に絞って作られたのが面白いと感じたのかも。でももっとムーンナイトに活躍して欲しかったし、登場のさせ方にもっと工夫が欲しかったし、バトル的な爽快感が少なかったのも事実。
とはいうものの、これからムーンナイトがどういう戦いを繰り広げていくのか、アントマン&ワプスのようにレイラとの共闘はあるのか、新たなる敵の存在は?、神々はどう動くのか?色々と楽しみが多そうなので、次シーズンを期待。
Disney+にて視聴
Moon Knight
STAFF
原作 ダグ・モエンチ ドン・パーリン『ムーンナイト』
監督 アーロン・ムーアヘッド、ジャスティン・ベンソン
製作総指揮 ケヴィン・ファイギ ルイス・デスポジート ヴィクトリア・アロンソ ブラッド・ウィンダーバウム オスカー・アイザック モハメド・ディアブ ジェレミー・スレイター
製作 マーベル・スタジオ
配給 ディズニー・メディア・ディストリビューション
CAST
スティーヴン・グラント / マーク・スペクター / ムーンナイト オスカー・アイザック 関智一
レイラ メイ・カラマウィ 小松未可子
アーサー・ハロウ イーサン・ホーク 咲野俊介
コンス F・マーリー・エイブラハム 金尾哲夫
アントン・モガート / ミッドナイトマン ギャスパー・ウリエル 北田理道

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