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映画「太陽とボレロ」感想

☆もるがん☆

tb

いつも心に音楽を・・・

音楽が主役?いえいえ、それだけではなく昔日に家族揃って観ていたドラマ、娯楽の中心だった頃の映画の雰囲気も漂って来くる映画なのです。

もしも伊藤蘭さんが20歳若かったら、主人公を演じられていたのではないでしょうか。それが第一印象。何だかあてがきをしているように感じてしまったのですよ、セリフにも演技にも。長年そばにいるうちに水谷豊さんが知らずに影響を受けてしまったというものあるでしょうが。

檀れいさんの理子も良かったですよ。元宝塚だけに所作も綺麗だし、喜びにくるっと一回転する所も可憐で。鶴間さんの元劇団四季の石丸幹二さんとの場面はミュージカル的な風味もあって、音楽というもうひとりの主役と共に、この映画を盛り上げてくれました。

役者陣も「相棒」でお馴染みの顔も多いし、TVドラマ大好きな層には嬉しい配役。

ストーリーはシンプル。でもそれを様々な出来事を積み重ねて良い色合いに仕上げてあるのです。こんなにちゃんと画面を広く使う映画も久しぶりかも。カラーも当たり前の色が鮮やかで。影もまた光と良い配分で。それは監督が長年の自身の役者としての経験で得て来たものが、出て来たのではないかと思うのですよ。やたらのアップ、激しく動くけれど暗いばかりで何をやっているかわからない、みたいなものは一切ない所に好感が持てました。

西本智実&ロイヤル・フィル 東京ライヴ2009 ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調

それと音楽。指揮者の西本智実さんとイルミナートフィルハーモニーオーケストラが参加。弥生交響楽団は架空の存在ですが、そこに流れる音楽は本物なのです。

指揮をする西本さん、凛として素敵ですね。

幕開けのファランドールにベートベンの交響曲第7番、あかりがひとり練習するタイスの瞑想、姫が悪魔の生贄にされるかのような、理子が畑中に迫られる時の白鳥の湖の”情景”。芝居とシンクロする音楽がたまらないのですよ。

一番印象的だったのは、理子にねだられて鶴間がサックスを演奏する場面。ビゼーの「カルメン」の花の歌なのですよね。つれなくされてもカルメンを忘れられないドン・ホセが牢獄で切々と歌うアリア。鶴間の理子への思いが垣間見られるようで。

広々とした自然の中に流れるクラシック音楽、良いですね。

最後のボレロも良かったです。明るい希望をもって、誰もが未来に歩いていかれるようで。(あの曲を聴くと反射的にジョルジュ・ドンが踊る姿を思い浮かべてしまうのですが)弥生交響楽団という拠り所を失くしてしまった人々の行く末は、決して平坦な道ばかりではないかもしれないけれど、きっと救いはあるはずと思わせてくれるような。

良い映画でした。

STAFF
監督 水谷豊
脚本 水谷豊
製作 遠藤英明 西平敦郎 粟生一馬
製作総指揮 早河洋 桑田潔(エグゼクティブプロデューサー)
音楽 山元淑稀
撮影 会田正裕(J.S.C.)
編集 只野信也
制作会社 東映東京撮影所 東映テレビ・プロダクション
製作会社 映画「太陽とボレロ」製作委員会
配給 東映

CAST
花村理子 檀れい 弥生交響楽団の主宰
鶴間芳文 石丸幹二 中古車販売センター社長
田ノ浦圭介 町田啓太 トランペット奏者
宮園あかり 森マリア ヴァイオリン奏者
牧田九里郎 田口浩正 オーボエ奏者 
遠藤正道 田中要次 ホルン奏者
池田絹 藤吉久美子 楽団最年長のフルート奏者
吉村益雄 六平直政 コントラバス奏者
畑中善行 山中崇史 怪しいアパレルバイヤー
花村頼子 檀ふみ 理子の母親
片岡辰雄 河相我聞 副指揮者
与田清 原田龍二 チェロ奏者
中西浩二 永岡佑 クラリネット奏者
山野はる美 梅舟惟永 ヴァイオリン奏者
太田なつ美 木越明 楽団員
菊池良太 高瀬哲朗 楽団員
山岸克仁 小市慢太郎 
森本市郎 カンニング竹山
戸崎初男 HIDEBOH
小林健 渋谷謙人
遠山典子 松金よね子
藤堂謙 水谷豊 弥生交響楽団の指揮者


我らが陣内くんこと原田龍二さんと河相我聞さんも良かったですね。短いセリフの中に確執の理由もわかり、そして最後には和解の兆しもありで。

お客さんの入りがとても少なかったのが残念。世の中は刺激的で辛ければ人気グルメという風潮、映画もそうかもしれません。でもこういう、何処かのベランダで、美味しくいれた紅茶をいただきながら、目の前に広がる美しい庭を眺めるような映画、それを楽しむのも人生の良き時間の使い方ではないかと思うのですよ。

相棒 Classical Collection=杉下右京 愛好クラシック作品集=【HQCD】

右京さんお好みの音楽も聴きたい気分になりますね。

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