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映画「エノーラ・ホームズの事件簿2」感想

☆もるがん☆

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自惚れ屋のエノーラは、また面倒事に自ら飛び込んでいく。

有名な兄と同じ探偵の仲間入りを果たしたエノーラは、晴れて探偵事務所を開設する。しかし物事はそう簡単にはいかず、肝心の依頼がまったくない。やっとのことで「行方不明の少女を捜してほしい」という依頼を受けたエノーラは、新米探偵として初めての事件解決に意気込むが、事態は思わぬ方向へと進んでいき、いつしか危険で強大な陰謀に巻き込まれてしまう。それでも彼女は、頼れる兄シャーロックや新たな友の助けも借りながら、知恵と勇気で事件に挑んでいく。

視聴者に語りかけるという、いわゆる第四の壁を越える手法は好みが分かれそう。

マッチ工場に勤める少女ベッシーに頼まれて、サラという女性を探すエノーラ。貧民街では幼い子も働いている。部屋では雑魚寝。それが当たり前だというベッシー。同居人のメイがエノーラに敵対心をむき出しにする。何か探って欲しくない事がありそうだ。

貧富の差、階級社会。

マッチ工場で搾取される貧民たち。工場の何か悪事の証拠を盗んだ者がいる。それが行方不明のサラなのか。サラとメイは同じ劇場の舞台に立っていた。探りをいれるエノーラにメはナイフを突きつける。お嬢様にはわからない事、これ以上首を突っ込むなと。それでも向こう見ずなエノーラは反攻する。

育ちがいいだけに、人の悪意に鈍感で、自分の能力に限界があるとも思っていない。兄のシャーロックの助言もテュークスベリー子爵の好意も拒絶、「何でもひとりで出来る」と突っぱねる世間知らず。テロリストの母親の影響も大きいのかも知れない。

どうやら、以前の事件の反省はないようだ。

今回もそのまま突っ走るだけ。頭はいいが頭が悪いのだ。
そして自分が兄よりも有名な探偵になれると妄想している。

ナイフで刺されたメイを発見するエノーラ。
メイのポケットから謎の楽譜が出て来る。

その場に警察がやって来る。容疑者として追われるエノーラは兄の家に逃げ込む。だがまだ上から目線の意地っ張り。そちらが助けたいなら、助けてもいいのよ的な。どこまでも可愛げのないエノーラ。この作品に人気がないのは、この性格のせいだろう。

ヘンリー・カヴィルのシャーロックは一作目よりもシャーロックらしくなって好印象。

シャーロックは謎の資金の流れを追っていた。犯人はゲームを仕掛けているとシャーロックはいう。捜査されているのを知っていると。

エノーラはやっとシャーロックにサラを探している事を打ち明ける。証拠の楽譜をバイオリンで弾いてみるシャーロックがいい。何故、グレイル警視を怪しいと思うのか、サラは良い人間だと思うのか、それは彼女の直感だけで、何の証拠もない。それでは探偵とは言えない。ここでもサラは「自分の事件」だと言い張るが、あまりにも感情的になっている彼女に、シャーロックは「私を目指すな」と助言をする。どうせ聞く耳はもたないと知りながら。

女だから男と同じ事は出来ない、そういう時代。
この話題は何度も繰り返される。

だが、女でも出来ると認めさせるために、その中で意地を張るだけでは、事態は好転しない。ポリコレ以前の話で、女だから出来ないのではなく、エノーラのやり方では出来ないという事なのだ。そこを間違えてはいけないのだ。

舞踏会に潜入したエノーラに、マッキンタイア卿の秘書ミラ・トロイが近づいて来る。ライオンのマッチ工場を探っていて隠れた時、エノーラの隠れた方を見ていた黒人女性だ。親し気に話しかけてくるトロイに、エノーラは人違いだといい、偽名を名乗る。トロイは何か知っているようだ。

舞踏会でテュークスベリー子爵とまた出会う。ここでも2人はぎこちない会話をする。

シシリーという女性がテュークスベリー子爵に近づこうとする。

息子のウィリアム・ライオンがサラを殺した容疑者だと思い、ダンスの誘いを理由に近づくエノーラ。上流階級のダンスカードや扇子の会話が面白い。エノーラは変人の母親に育てられたせいなのか、ホームズ家がそこまでの上流ではないのか、舞踏会の作法も知らず、ダンスも苦手なようだ。

シャーロックは手がかりを考察するうちに、モリアーティという名前を発見。

それでもエノーラは何とかライオンと深夜の図書館で会う約束をするが、そこに警察がやって来てエノーラを逮捕。グレイル警視に尋問される。絞首刑を宣告される。無力なのに意地を張るからこんな事になる。兄は妹を救おうと、母親の仲間エディスに助けを求める。

エノーラは刑務所に入れられる。やっと少し反省したかどうか。

エノーラを刑務所から救ったのは、あの母親とエディスだった。マッチ工場の事件を母親のユードリアも追っていた。2年前からいきなり業績が好転したマッチ工場、少女たちが次々に消えている。工場の経営者はチフスで死んだというが。権力者の都合の悪い事をサラは知っている、だから近づいたものが危険な目にあう。エノーラたちはグレイル警視に捕まりそうになる。

だが彼女達は、しおらしい女とは違うのだ。警官達を打ちのめし、馬車を爆破して逃げ延びる。ハレルヤコーラスの響き渡る中の戦闘は、エノーラには爽快だったろう。

ユードリアはテュークスベリー子爵の事をエノーラに”あなたの恋人”はどうしていると尋ねる。エノーラは恋人じゃないと否定する。母親はエノーラに独立心を植えつけすぎたと反省しているようだ。自立する事とは、他人を拒否する事ではない。誰かと協力すれば、もっと素晴らしい事が出来るはずだと。

ベッシーはエノーラと逃げる事を拒否。
メイの死でエノーラを信用出来なくなったのかも知れない。

エノーラは2年前にマッチの頭が赤から白に変わった時から、工場の収益があがったのに気がつく。リンは安価、白いマッチ棒のリンで少女たちは死んでいた。その事をテュークスベリー子爵に協力してもらおうとした時、シシリーがやって来る。何とかシシリーを追い返した子爵。

ぎこちない子爵の告白が初々しい。そして考え事をしていたエノーラは聞いていない。

エノーラは気が付く、シシリーがサラだったと。

扇子のゼスチャの意味は「愛してる」。それがテュークスベリー子爵の気持ちであり、ウィリアム・ライオンとサラの間にあるもの。2人は協力して父親の工場の不正を暴こうとしていた。

唐突だが、互いの気持ちを知ったエノーラと子爵。
2人は馬車で事件現場へと急ぐ。

ひとり忍び込んだ工場で、エノーラは兄シャーロックと鉢合わせする。そしてウィリアムの遺体を見つける。拷問したのは、痕跡からグレイル警視だと兄妹は推理する。そしてもうひとつは高級品の痕跡から、それなりの地位と階級の人間だとも。

エノーラは財務相のマッキンタイア卿がマッチ工場からカネを受取っているとシャーロックにいう。

シャーロックは、葉巻や男が坐っているように見せかけたものだと気が付く。そして楽譜が場所を示す地図だとわかり、劇場へ急ぐ。そこで証拠の書類を見つけるが、グレイルと悪徳警官が現れ、ベッシーを人質に兄と妹と子爵はピンチに陥る。

確かに脇が甘い。

マッキンタイア卿もやって来て、証拠を燃やされてしまうし。モリアーティが黒人女性なのは、ポリコレ全盛のなので仕方ないのだろうけれど。女性の立場、黒人が奴隷だった時代の物語なので、それほど気にはならないですね。

シャーロックが強いのはスーパーマンだから当然としても、軟弱だった子爵も頑張るのは好感が持てますね。エノーラが惚れるわけです。

グレイルはやっつけたものの、何もかも失なったサラ。それでもサラは工場の女性に呼びかけ、ストライキを実行。搾取する経営者に対抗するのです。このあたりも時代背景ありですね。完全勝利ではないけれど、泣き寝入りはしない。

エノーラも子爵も良い感じ。子爵は戦い方を覚え、甘い汁を吸っていたマッキンタイア卿を逮捕まで追い詰めます。世間知らずのお坊ちゃんから脱却したようです。一緒に探偵業をやろうという兄にエノーラは、それでは自分が兄さんの影に隠れてしまうと断り、独立した事務所を構えます。

そしてシャーロックの同居人として、ジョン・ワトソンが登場する所でエンド。これは続編もありですかね。エノーラはともかく、ヘンリー・カヴィルのシャーロックはまた観たい。

Enola Holmes 2

STAFF

監督 ハリー・ブラッドビア
脚本 ジャック・ソーン
原作 ナンシー・スプリンガー(「エノーラ・ホームズの事件簿シリーズ」より)
製作 メアリー・ペアレント アレックス・ガルシア ミリー・ボビー・ブラウン ロバート・ブラウン
音楽 ダニエル・ペンバートン
撮影 ジャイルズ・ナットジェンズ
編集 アダム・ボスマン
製作会社 ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ レジェンダリー・ピクチャーズ
配給 Netflix

CAST
エノーラ・ホームズ ミリー・ボビー・ブラウン 白石晴香
シャーロック・ホームズ ヘンリー・カヴィル 星野貴紀
ユードリア・ホームズ ヘレナ・ボナム=カーター 高乃麗
レストレード警部 アディール・アクタル 佐々木祐介
テュークスベリー子爵 ルイス・パートリッジ 上村祐翔
エディス スージー・ウォコマ 村田遥
ミス・トロイ / モリアーティ シャロン・ダンカン=ブルースター 佐古真弓
グレイム警視 デヴィッド・シューリス 郷田ほづみ
ジョン・ワトソン ヒメーシュ・パテル 森宮隆


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