劇団☆新感線「薔薇とサムライ2~海賊女王の帰還」感想

2022年劇団☆新感線42周年秋興行 新感線RX『薔薇とサムライ2~海賊女王の帰還』
アンヌ・デ・アルワイダの魅力に酔いしれる!!!
これは私の新感線の観劇体験の中でも、3本に指に入る舞台でした。
ありがちだった中だるみはなく、それぞれの国や立場に視点を切り替えての進行具合が手際良い。舞台の背後のスクリーンで背景も説明も歌詞も全部まかなっています。すべての歌ではないものの、歌詞が出るのはありがたいですね。
吟遊旅団の歌も良かった。国々の激動のなりゆきをずっと見て来た彼らの最後の熱唱まで、気持ちが途切れる事なく見入ってしまいました。
天海祐希さんが良かった!これはTVでは伝わらない、舞台ならではの魅力。毅然とした女王、豪快な女海賊、そして怪盗紳士。黒の短髪に黒のスーツ、トップの男役だった人の魅力がここぞとばかりに溢れ出して、指の動きひとつ、流すまなざしだけで、観客の心を掴みに来る。劇場内の大半が、心の中で「キャーーー!」と叫んでいたのではないでしょうか。おそらくは女優になるために捨て去らねばなかなかったもの。それが今目の前で威力全開で繰り広げられるのですから。
脚本も良かった。表面は平和に見えても、その裏でうごめく陰謀。欧羅巴の小国たちは、国を護ろうと必死になる。たとえそれが今は自分達の首を絞める事になっても、その先で立ち上がる何かを見つけようと。それが岩塩だったり、妙な果物だったりと、コミカルな要素も忘れないから、芝居の世界がしっかりと創り上げられ、リアルでありながら、現実の影を思い出さなくてすむのですよね。
あ、そうだ!!シャルル!!
シャルルも映像だけとはいえ、登場してくれたのは良かった!シャルル大好きなんですよ。やっぱり皆に軽くあしらわれるのですが、真面目に国の事を考え、アンヌへの情熱を隠す事もせず、どこまでもシャルルはシャルルなのが良いですね。ワシのアンヌも活躍(?)してました。
「世代交代」が主題だという事でしたが。
確かに、若き面々が頑張っていましたね。特にロザリオの石田ニコルさん、歌も存在感も良かった。父の死を乗り越え、愚かな兄に代わって、国を率いていく新たな女王。その彼女の手本となったのがアンヌ。
彼らを支えるのは、お馴染みの顔。それぞれにあてがきなのか、どなたも生き生きと演じられていましたね。これが劇団の安定感。しかし時は流れ、生身の彼らも歳を取る。殺陣が売り物のひとつですが、そこは早乙女友貴さんが頑張ってくれましたね。切れのある身のこなし、楽しかったです。もしやあのヒッキー王子が?と見せかけて実は・・という。
粟根まことさん、今回は良い人。若者達をフォローする役回り。
アンヌと五右衛門の手慣れたやりとりも良かったし、マリア・グランデとボルマンの悪役っぷりも良かった。新感線の舞台は、窮地に陥って胸の悪い展開になっても、最後は救われるのが良い所。カーテンコールに登場する役者さん達に、晴々とした気持ちで拍手を贈れるのはいいですね。スタンディングオベーションになりましたね。自然とみんな席から立ち上がって。
ああ、良いもの観た・・と思いながら、劇場を後に出来るのは、なんて幸せなのでしょう。
STAFF
作 中島かずき
作詞 森雪之丞
音楽 岡崎司
振付・ステージング 川崎悦子
演出 いのうえひでのり
CAST
古田 新太 石川五右衛門
天海 祐希 アンヌ・デ・アルワイダ コルドニア王国女王
石田二コル ロザリオ・イクシタニア イクシタニア王国の王女
神尾 楓珠 ラウル・ド・ボスコーニュ ボスコーニュ公国シャルル一世の弟
高田 聖子 マリア・グランデ ソルバニアノッソ王国の女王
粟根まこと ケッペル・レンテス 医師
森奈みはる エリザベッタ
早乙女友貴 マクシミリアン・ド・ラブズブール マリア・グランデの息子
西垣 匠 ベルナルド エリザベッタの息子
生瀬 勝久 ボルマン・ロードス コルドニア王国宰相

新橋演舞場の2階の「雪月花」で特製幕の内弁当をいただきました。
八寸
演舞場特製玉子焼 焼蒲鉾 海老芝煮 鰆西京焼 花蓮根
一口昆布 ベルローズ 鶏のハーブ焼 むかご 銀杏 焼紅芋
替鉢
ポテトフライ ローストビーフ五穀おろし和え
柿京なます 秋茄子田楽鶏そぼろ味噌漬け
煮物
鰤大根 里芋 黒蒟蒻 ブロッコリー 花人参
御飯
白飯 ふりかけ 香の物

添えられた一輪の薔薇が良いですね。

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