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新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ 感想

☆もるがん☆

10

最後かもしれないだろ?

だから、前編も後編も見ておきたいんだ。


2001年発売のゲーム。「ザナルカンドにて」の旋律と繰り広げられるドラマに涙した。あれから20数年を経て、360度に展開される物語を、IHIステージアラウンド東京で、こうして観る事になろうとは。

前編 (開場11:30 開演12:00)

大いなる脅威『シン+』に人々がおびえて暮らす、死の螺旋にとらわれた世界スピラ。そんなスピラへと迷いこんだ少年ティーダ。そこで可憐で気丈な召喚士ユウナと出会う。ユウナの目的はただ一つ。『シン』を倒すこと。そのための『究極召喚を手に入れること』であった。ユウナの決意に胸をうたれるティーダは同じくユウナを援護する仲間たちと共に旅にでる。水球競技ブリッツボールでの熱戦や、父の盟友アーロンとの再会により、一行は「真実」に近づくこととなる。だがそこに立ちはだかるグアド族の族長・シーモア。「死の安息こそスピラの願い」というゆがんだ考えを抱いている男である。その原因ともなった彼の幼き頃の悲哀に満ちた物語とは果たして……。

後編 (開場17:00 開演17:30)

グアド族の族長・シーモアの策略はティーダたちをますます追い込んでいく。狡猾なシーモアは、ユウナを誘拐し、彼女を利用するために政略結婚を企てる。それに抗った一同は反逆者の汚名を着せられ、旅の中断を余儀なくされる。絶望し泣き崩れるユウナを見て、ティーダはなんとしても彼女を守りぬこうと決心。出会った頃から互いに惹かれあっていた二人は秘めた恋心に身を委ねるのであった。一同は決意を新たに、再び『シン』を倒す究極召喚を手に入れるために立ち上がる。だがそこに待ち受けていたのは衝撃の出来事……『シンの正体』『究極召喚と引き換えになってしまうユウナの命』そして『ティーダの存在の真実』……彼らはそれを乗り越え、自分たちの物語をつむごうとする。


幕が上がる前に、23代目オオアカ屋の中村萬太郎さんが、歌舞伎に接するのが初めてのお客様に、見得をきる時や足音や戦闘シーンに拍子木を打つ、ツケについて説明したり、軽い調子で心構えをさせてくれるのがいいですね。

前編は現代劇寄り、後編は出囃子もあって、歌舞伎の色を濃くして、初心者にも歌舞伎を知ってもらおうとしているような気がしました。

IHIステージアラウンド東京は何度か来ているのですが、今回は周囲を幾つかに分けてセットを組んで区切って、ぐるりと回りながらその一部で繰り広げられる芝居を見る感じでした。さすがに360度をバイクでぐるぐる回ったりするような演出はなく、基本的に前を向いて観ていればいい。椅子のクッションも良くなっていました。客席の通路を役者さんが通る演出はあって、それは歌舞伎座などと違い花道がないので、それを補う意味があったと思います。

FFXへのリスペクトに満ちている

それが第一印象でした。歌舞伎に手繰り寄せて上手く落とし込んではいますが、それもキャラや世界観を大切にしてFFXのファンの気持ちに寄り添うように作り込んであるのですよ。

ポンポンとスピラの世界の出来事を観るような演出は、ゲームの合間のムービーのようでもあり、ゲーマーにはあまり抵抗はなかったのではないでしょうか。元の物語を知っているからかもしれませんが、話が飛んでも迷う事がありませんでした。歌舞伎も同じような形式で話が進んでいきますし。

ぶっちゃけ、着物で歌舞伎を観劇に来られるようなご婦人方は戸惑ってはおられましたが、それでも「若い人にも観てもらえるなら」と好意的に話されていましたね。形はやや違っても役者さんの演技は嘘偽りがなく素晴らしいもの。それに満足されていたようです。

FFXだからと初めて歌舞伎を観に来た層も、FFXの物語の良さをちゃんと拾い上げてくれた舞台に感激していたようです。自分達の知っているCGの世界を、現実の世界で、ここまで再現してくれているのかと。

高級なコスプレといってしまえばそうですが、念入りに和の雰囲気を取り入れながら、キャラクターを作り上げているのです。ティーダ達は現代劇に近い演技で、FFXの声優さんの演技をもベースにしている気もしました。

ティーダの菊之助さんに初々しい森田成一さんの真っすぐな熱を感じたッス!

ユウナの中村米吉さんは一番FFXの世界に近くて、仕草もCGから抜け出して来たよう(いい意味で)、台詞もユウナを思わせる間の取り方でした。再現度が高いといえばルールー、あの妖艶さ。ワッカの元気さも頭が悪いけど度量の広さも良かった。キマリもよくぞここまで、これは感動ものでした。

大好きなアーロンを演じたのは中村獅童さん。アーロンですよ、まさにアーロン。皆の精神的支柱でもある人物を良く演じてくれていて。嗚呼、アーロンだと思いましたよ。シーモアの尾上松也さんも素敵でしたね。バラエティ番組などでは印象が薄かったのですが、この孤高のシーモアの良い事!声も良いですねえ。やはり役者は舞台で観ないと!

シドの中村歌六さんも良かったですね。ベテランのしっかりとした演技が舞台を引き締めていく。ジェクトの坂東彌十郎さんも良かった、「鎌倉殿の13人」の北条時政でも熱演が話題になりましたね。ブラスカの中村錦之助さんもいい。中村隼人さん推しの私は歌舞伎の美男の系譜を感じました。そんな中で丑之助くんも立派に演じていて可愛かったですね。

歌舞伎風にした召喚獣も面白かった。まあ、ようじんぼうは元ネタがアレですから、一番それらしくなっていましたが。イフリート、シヴァ、バハムート、イクシオン、ヴァルファーレ達がみんな揃って毛振りまで見せてくれるとは。

「ザナルカンドにて」を始め植松伸夫さんの曲を和風にアレンジしたのも良かったですね。これは音楽集が欲しいです。配信でもCDでもいいので出してくれないでしょうか。

衣裳もですが、武器も良かった。ティーダやアーロン、ジェクトの剣、ユウナの杖。これも欲しい位です。ティーダやアーロンの構えもゲームっぽくて良かった。

そういう隅から隅までずずずいっと、気配りが感じられる舞台でした。

後編が終わったのは21時近く、本当に皆様おつかれさまでした!

後編後のカーテンコールの写真撮影のサービスタイム。その時、菊之助さんが米吉さんを背中からハグしたのですよ。そこにはティーダとユウナがいました。尊いとはこういう時にこそ使う言葉かも。

10

IHIステージアラウンド東京

STAFF
企画 尾上菊之助
脚本 八津弘幸
演出 尾上菊之助 金谷かほり

主催 『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』製作委員会
(TBS / ディスクガレージ / ローソンエンタテインメント / 博報堂DYメディアパートナーズ / 木下グループ / 楽天チケット / TopCoat)
後援 TBSラジオ/BS-TBS
原作・協力 スクウェア・エニックス
制作協力 松竹
特別協賛 木下グループ
協賛 再春館製薬所
製作 TBS

CAST
ティーダ 尾上菊之助
アーロン 中村獅童
シーモア 尾上松也

ルールー 中村梅枝
ルッツ / 23代目オオアカ屋 中村萬太郎
ユウナ 中村米吉
ワッカ 中村橋之助

ティーダ(幼少期)/ 祈り子 尾上丑之助

リュック 神村吉太朗
ユウナレスカ 中村芝のぶ

キマリ 坂東彦三郎
ブラスカ 中村錦之助
ジェクト 坂東彌十郎
シド 中村歌六


これは歌舞伎や演劇が好きでFFXをLV99で何度もクリアした現役ヒカセンの感想です。

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Posted by☆もるがん☆

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