大正ロマン×百段階段 ~文豪が誘うノスタルジックの世界~

ホテル雅叙園東京の百段階段で開催中のイベント
百段階段は1935年(昭和10年)に建てられた木造建築。ホテル雅叙園東京の一部となっています。99段の階段廊下の途中に7つの部屋があります。それぞれに職人や芸術家が趣向を凝らした部屋です。今回はそこに文豪の名作のイメージに飾り付けられています。文豪の名作に現代の人気イラストレーターがイラストを添えるコラボレーション・シリーズ『乙女の本棚』(立東舎)とのコラボ企画。ヨダタケシさんのオリジナルBGMも素敵でした。

入場料を払い、螺鈿細工をほどこされたエレベータで百段階段の場所まで上がって行きます。

エレベーターを降りると文豪の部屋のイメージの装飾がありました。この階には売店もあります。

靴を脱いで、ビニール袋に入れて、それを持って階段を上がって行きます。
萩原朔太郎 「ねこまち」 × 十畝の間
天井には前室に8面、本間に15面、合計23面の襖仕立ての鏡面に荒木十畝による四季の花鳥画が描かれています。 黒漆の螺鈿細工が随所に見られる重厚な造りの部屋。

主人公がくつろいでいたのでしょうか。

時すらも流れているのか怪しい町にたどりつく主人公。

懐かしいカフェの風景。

猫がいっぱい。
中島敦「山月記」×漁樵の間
室内はすべて純金箔、純金泥、純金砂子で仕上げられ、彩色木彫と日本画に囲まれた美しさは息を呑むほどの絢爛豪華さです。床柱は左右ともに巨大な檜で、精巧な彫刻 (中国の漁樵問答の一場面)が施されています。格天井には菊池華秋原図の四季草花図、欄間には尾竹竹坡原図の五節句が極彩色に浮彫されています。

中国の景色の描かれた部屋にちなんでの作品の選択でしょう。

中国風の茶器などが飾られています。

虎になってしまった友人と出会った時の袁傪(えんさん)のイメージでしょうか。

格天井には菊池華秋原図の四季草花図。

どこを見ても眼福な部屋でもあります。
太宰治「葉桜と魔笛」×草丘の間
格天井の秋田杉及び欄間には礒部草丘の四季草花絵、瑞雲に煙る松原の風景が描かれています。障子建具は非常に手の込んだ面腰組子。

どの部屋も入口に部屋の名前が書かれています。

島根の城下町に住む姉妹。病弱な妹には秘密が・・・

窓から望む景色も、都内とは思えないほど。

階段のみがあり、部屋が存在しない場所があります。この先は焼失したとか封印されたとか、真相は謎のようです。
小川未明「月夜とめがね」×静水の間

部屋に足を踏み入れてすぐに目に着く設えが、心を物語へと連れて行ってくれます。

おばあさんに二人の訪問者があったのは、うす青い月の夜。

少し懐かしい眼鏡がいっぱい。
泉鏡花「外科室」×星光の間
奥の間の床柱は北山杉天然絞丸太で、次の間の床柱は槇出節、両室とも格天井及び欄間いっぱいに板倉星光の四季草花が描かれています。

奥に「診察室」と書かれた札が置いてあります。

とある人物のイメージの衣装。

外科室での手術前、麻酔を激しく拒否する伯爵夫人。彼女がそこまでして、口走るのを恐れる秘密とは・・・
「外科室」は、吉永小百合主演、坂東玉三郎監督の映画もありました。

思い出の躑躅の花園を再現。
谷崎潤一郎「秘密」×清方の間
美人画の大家、鏑木清方が愛着をもって造った落ち着いた静かな茶室風の室です。特に奥の間の床柱は径一尺五寸の北山杉の天然総絞丸太でこのような逸材は今日、市場でもなかなか見出せないものです。廻り廊下の北山丸太を扱った化粧軒、障子建具、組子など、細心の造りです。扇面形杉柾板に四季草花、欄間の四季風俗美人画ともに 清方の筆です。

百段階段の中でも人気の高い清方の間。

夜な夜な女装して出歩くのを密かな楽しみとしていた「私」。

ある夜、昔の女と再会した「私」は、秘密の逢引きをするようになり・・・

鏑木清方の娘道成寺。たおやかな女形が、「私」の夢見る姿に重なって思える。

頂上の間
99段の階段を昇り詰めると、頂上の間があります。天井画は松岡映丘門下の作品です。前室、本間ともに格天井で、本間の床柱は黒柿の銘木を使用しています。

ここは休憩が出来るようになっています。

大正ロマンを感じさせる室内。

大正の乙女たちの話し声が聴こえて来そうです。

また階段を下ると、売店があって、今回の部屋々々のイメージの元となった本が並んでいました。


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