シネマ歌舞伎「鷺娘/日高川入相花王」感想

今や映像でしか見る事の出来ない玉三郎の世界。
『日高川入相花王』
人形浄瑠璃を歌舞伎舞踊化した「道成寺物」の作品で、人形振りでみせる趣向となっています。恋する安珍を追って日高川の渡し場にたどり着く清姫ですが、船頭は川を渡してくれません。 安珍への嫉妬と恨みの激情を燃やす清姫はついにー。
清姫:坂東玉三郎
人形遣い:尾上菊之助
船頭:市川九團次
人形振りが面白い。ちょっとカクカクとした動きの表現が、何故か清姫の想いをリアルに感じさせてくれる。人形遣いとの息の合い方も見どころ。黒子もいるわけだがそれが気にならなくなるのが芸という事か。
『鷺娘』
しんしんと雪が降る水辺の柳の下に、蛇の目傘を差した白無垢姿の娘がひとり佇んでいます。娘は実は道ならぬ恋に悩む白鷺の精。一途な恋心を綴っていきますが、 いつしか白鷺の姿に戻った娘は、遂げられぬ恋に苦しみもがき、降りしきる雪の中息絶えるのでしたー。
鷺の精:坂東玉三郎
歌舞伎座で鑑賞した時の感動を今も覚えている。現在では封印された演目。海外でも好評だった妖艶な美は並々ならぬ気力と体力があってこそのものなのだ。鷺の精の一途さが白一色の世界に描かれる。途中で赤や桜色の着物姿となり、恋焦がれる娘の姿が描かれる。そして白鷺に早変わり、鷺の精の最期まで一期一会の美の世界が繰り広げられる。本来は一期一会の美、映像として残されたのは幸い。
上演月:「鷺娘」2005(平成17)年5月/「日高川入相花王」2005(平成17)年10月
上演劇場:歌舞伎座
シネマ歌舞伎公開日:2006(平成18)年4月15日
上映時間:61分

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