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シネマ歌舞伎「天守物語」感想

☆もるがん☆

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天守に住まう異界の姫と若武者の悲恋

白鷺城の最上階にある異界の主こと天守夫人の富姫が、侍女たちと語り合っているところへ、富姫を姉と慕う亀姫が現れ、宴を始めます。その夜、鷹匠の姫川図書之助(ずしょのすけ)は、藩主播磨守の鷹を逃した罪で切腹するところ、鷹を追って天守閣最上階に向かえば命を救うと言われ、天守の様子を窺いにやってきます。

海神別荘もそうだけれど、本当に歌舞伎の姫は一瞬で恋に落ちる。そしてその恋に己のすべてを投げうってしまう。何という行動力と生命力、相手の殿方が巻き込まれて引きずられてしまう事が多い。たとえばオグリもいきなり姫に告白され「え、俺?」的なままにあれよあれとと押し切られてしまう。

富姫の千年に一度の恋もそう。間近で見た図書之助の男ぶりに惚れ、藩主の部下に異界の象徴の獅子頭の目を傷つけられ、無力で盲目な身になってしまう。あわやという所でいきなり現れた神のような存在に助けられるわけだけれど。

この時、図書之助も盲目になっていたのは、姫の愛を受けた彼もすでに異界の仲間となっていたという事でしょうか。

いつもながら玉三郎の衣装が素晴らしい。本人の美しさをさらに際立たせる。異界の姫同士でのたわむれも妖しく面白い。勘九郎の女形も今となっては珍しい。この頃の団十郎の立ち姿も良い。玉三郎の貫禄にやや押されている感もあるけれど。

舞台はゆるゆると進む。これも泉鏡花の世界を楽しむためと思えば。

上演月:2009(平成21)年7月
上演劇場:歌舞伎座
シネマ歌舞伎公開日:2012(平成24)年1月21日
上映時間:117分

天守夫人富姫:坂東 玉三郎
姫川図書之助:市川 團十郎
亀姫:中村 勘九郎
薄:上村 吉弥
小田原修理:市川 猿弥
舌長姥:市川 門之助
朱の盤坊:中村 獅童
近江之丞桃六:片岡 我當


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